医師という仕事をしている限り,内科医であれ外科医であれ,薬を使って治療をするということは避けられないことである.筆者らは内科医として多くの患者に多種多様な薬剤を処方してきたが,多くの失敗も経験してきた.腎不全の患者に用量調整しなければいけない薬を通常量で処方してしまったとか,不眠の高齢者に処方した薬が転倒の原因になったといった事例を思い出すが,このような失敗経験から学ぶことも多かった.(中略)こういった失敗は,たまたま何事も起こらずにすむこともあれば,重篤な合併症を起こしたりすることもあるだろう.
(中略)
本特集では,そういった患者のライフステージ(妊婦,授乳婦,高齢者)を「年齢」要素とし,患者の薬物代謝にかかわる基礎疾患(主に腎障害,肝障害など)を「病態」要素として,それぞれを意識した薬剤の使い方についてまとめてもらった.総論では,「年齢」と「病態」を意識してどのように薬物を調整するのか,さらには実際にどのような資料を参考にして薬剤の投与量を調整すべきかを解説し,そして高齢化社会のなかで,polypharmacyやアドヒアランスの問題などで,どのような点を注意すべきか解説していただいた.各論では,特に研修医が日常診療でよく使用すると思われる薬剤を中心に留意点を取り上げていただいた.
(中略)
薬を処方するときに,漫然と普段通りの処方をするのではなく,「この患者に薬剤の投与調整は必要ないだろうか」「この患者に使用してはいけない薬ではないだろうか」と立ち止まって考えるようになっていただくための一助になれば幸いである.
利尿薬・抗菌薬・制酸薬など,日常診療でよく使う薬の,患者一人ひとりに合わせた処方の考え方を解説.年齢(ライフステージ)と病態(基礎疾患)を意識してどのように薬を選択・調整すべきかが具体的によくわかる!
抗真菌薬・抗ウイルス薬を含む【山本舜悟】
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