今後,超高齢化が進展するわが国では,高齢者が何らかの疾患や要介護状態となっても,住み慣れた地域コミュニティで生活を続けられるようになることが望まれます.そのためには地域包括ケアの実現が急務で,それがQOL をふまえた患者マネジメントにつながると考えられます.
地域包括ケアは入院も含めた概念であることは言うまでもありませんが,編者は入院した高齢者の在宅復帰支援は,今後の地域包括ケアがシステムとしてうまく機能するか否かの1つの鍵であると考えています.それは,① 高齢者では入院が長期化すればADL・認知機能への悪影響が懸念されるため早期退院が求められる一方で,地域での受け入れ態勢などから退院困難となることがありうる現状であること,② 個々の患者さんの在宅復帰支援が円滑でない場合には,都市部などで懸念されている入院病床の不足,ひいては地域で入院するべき患者さんが入院できないことにつながりうること,つまり,これらが地域包括ケアがシステムとして円滑に働くことへの妨げとなる可能性があるためです.
そもそも高齢者は一定以上虚弱になれば入院する可能性を秘めており,高齢者の臨床では入院した場合の在宅復帰支援について,ある程度は想定しておくべきであると言っても過言ではありません.この高齢者を取り巻く在宅復帰支援に対して,包括的・継続的に患者さんにかかわるべき総合診療医には,多くの役割があるのではないでしょうか.本特集では,「高齢者の在宅復帰支援について地域包括ケア時代に総合診療医は何をすべきか」について考えたいと思います.
(後略)
退院後を見据え,「入退院時に何をすべきか」「医療・介護スタッフとどう連携するか」「再入院を防ぐには」など,患者・家族に安心を提供するためのエッセンスが満載!病棟・診療所・在宅ですべきことが見えてくる!
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