1 現場にこだわるということ~Whatを超えてHowへ~
エビデンス・パイプラインの概念にいつどこ出合ったのかは覚えていませんが,現実主義者(pragmatist)である僕の頭にこびりついて離れなくなり,僕のところの研修医には必ず早い時期に教え込む概念です(詳細は別稿「エビデンス-診療ギャップとエビデンス・パイプライン」参照).
羊土社さんからGノートで予防医療の特集号をと依頼をいただいた際に,すぐに考えたことがいくつかあります.
- 予防医療については何をするべきか(What)は多くの良書やサイトが存在するため1~3),それらの二番煎じである“me too”特集にしない
- 新しい知見を発見する研究だけが学識かのように捉えられている研究至上主義の学問の場に統合と適用,教育も立派な学識であると一矢報いたい
- そのために,どうやって現場に落とし込むかにこだわった,何をするべきか(What)ではなくどうやって届けるか(How)についての特集にしたい
ということでした.
本特集は,このことに応えるべく,エビデンス-診療ギャップ(evidence-practice gap:EPG)が生じる理由についてのモデルである,エビデンス・パイプラインを利用して,7つのAの各段階の減衰を減らすための枠組みやアイデアを,
- 医師の認識レベル
- 医師-患者のコミュニケーションレベル
- 患者レベル
- それらを取り巻くシステムレベル
の大きく4つに分けて提示しました.
多くのエビデンス,ガイドライン,成書に書いてあることは,科学的根拠のある知見のみを,するべきこと(What)として書いてあります.しかし,現場の臨床家は「わかっちゃいるけど,そうは言っても…」となかなか実践に結びつかないのが現実です.
狭い診察室の平和で手一杯な在野の臨床家であるわれわれは新薬を開発したり,大規模な臨床研究をしたりすることは困難です.しかし医師たるもの,皆サイエンティストの端くれ,学問の世界に何らかの貢献をしたいものです.
(中略)
多くの人が大変な労力を割いて作成されたガイドラインや現場の診療レベルまで生き残ってきた質の高いエビデンス.その多くが患者さんにまで届かないことを当然の前提として使い散らかしてよいのでしょうか? どうせなら,丁寧に愛おしみ,患者さんのところまで,確実に届けたく,この特集を担当いたしました.
(後略)
大切とわかっていてもなかなか介入できない予防医療.「検診を勧めていれば」「予防接種歴を確認していれば」「禁煙の話をできていれば」とならないために,どうすれば実践できるか?“How”にこだわり徹底解説!
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