Gノート増刊:終末期を考える 今、わかっていること&医師ができること〜すべての終末期患者と家族に必要な医療・ケア
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Gノート増刊 Vol.5 No.6

終末期を考える 今、わかっていること&医師ができること

すべての終末期患者と家族に必要な医療・ケア

  • 岡村知直,柏木秀行,宮崎万友子/編
  • 2018年09月03日発行
  • B5判
  • 287ページ
  • ISBN 978-4-7581-2332-7
  • 5,280(本体4,800円+税)
  • 在庫:あり
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がん・非がんに関わらず,終末期に携わるすべての医療者必読!ACPの進め方,意思決定支援,多職種連携,医療者のケアなど,実践的な知識やエビデンス,参考になる事例が満載!これからの多死社会を診る医師に必須の知識とスキルが身につく!

目次

序 〜2018年,なぜ終末期を考えるのか〜【岡村知直】

第1章 総論:終末期を考える

1 終末期とは何か?【樋口雅也】

2 終末期医療はなぜ難しいのか?【岡村知直】

3 終末期とAdvance Care Planning【相木佐代】

4 地域のなかの終末期ケア(終末期医療)【大石 愛】

5 終末期をめぐる日本社会の動向【柏木秀行】

6 終末期患者は誰が診るべきか?【宇井睦人】

終末期を考えるさまざまな取り組み①

縁起でもない話をもっと身近に,当たり前に「もしバナ」のある世界へ【原澤慶太郎,蔵本浩一,大川 薫】

第2章 疾患別の終末期 わかっていることvsいないこと

1 なぜ疾患別に考えるのか?【木村衣里】

2 がんの終末期【神谷浩平】

3 心不全の終末期【大森崇史】

4 慢性呼吸器疾患の終末期【鈴木隆太,吉田尚子】

5 慢性腎不全の終末期【坂井正弘】

6 肝硬変の終末期【官澤洋平】

7 神経疾患の終末期【立石貴久】

8 認知症の終末期【山口健也】

9 膠原病の終末期【六反田 諒】

10 精神疾患の終末期【中澤太郎】

11 重症下肢虚血の終末期【井上健太郎】

12 血液疾患の終末期【牧山純也】

13 小児の終末期 ①小児がんの場合【森 尚子】

14 小児の終末期 ②非がん疾患の場合【雨宮 馨】

15 老衰【河口謙二郎,関口健二】

16 予期せぬ急死 ~救急外来の現場から【熊城伶己】

終末期を考えるさまざまな取り組み②

九州心不全緩和ケア深論プロジェクト【柴田龍宏】

第3章 終末期において,できること&やるべきこと

1 終末期の代理意思決定について【田中雅之】

2 治療中止のタイミングはいつか? ①総合内科編【小杉俊介】

3 治療中止のタイミングはいつか? ②腫瘍内科編【宮本信吾】

4 本当に家に帰れないのか?【橋本法修】

5 終末期の栄養・水分摂取【大屋清文】

6 終末期において噴出する問題,その社会的背景を考える【吉武順一】

7 病棟での終末期/看取り【松本弥一郎】

8 在宅での終末期/看取り【藤谷直明】

9 施設での終末期/看取り【工藤仁隆,吉武順一】

10 死亡診断書について【名越康晴】

11 DNAR指示について【森川 暢】

終末期を考えるさまざまな取り組み③

住民と医療者がともに行う意思決定支援の場 Co-Minkan【横山太郎】

第4章 事例に学ぶ 家族・遺族ケアから医療者のケアまで

1 終末期患者の家族ケア,遺族ケア ①看護師の立場から【宮崎万友子】

2 終末期患者の家族ケア,遺族ケア ②緩和ケア医の立場から【小杉和博】

3 終末期患者,患者家族とのコミュニケーション【濱口大輔,湊 真弥】

4 終末期医療における多職種連携【湊 真弥】

5 終末期医療にかかわる医療者のケア【舛田能生子】

6 事例① 症状緩和でうまくいかなかったケース【平塚裕介,田上恵太】

7 事例② 社会的な理由でうまくいかなかったケース【松坂 俊】

8 事例③ 倫理的な対立が生まれたケース【小田浩之】

9 事例④ 治療継続か中断か悩み,結果的に後悔が残ったケース【齋藤亜由美】

終末期を考えるさまざまな取り組み④

緩和ケアという言葉を使わずに緩和ケアをする【西 智弘】

『第1章 総論:終末期を考える 1 終末期とは何か?』より抜粋

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書評・感想
  • 本書は,すべての医療者に勧める一冊である.終末期にかかわらない医療者はいない.医療者というより人間,生物として,死とかかわらないものはいない.その点においてどんな医療者でも死を意識する,考えることは避けられない.しかし,死や終末期を語ることはとかくタブー視されがちであり,そこに切り込んでいったことも編者や執筆者の気概を感じる一冊である.

    そのうえで,執筆者の職種,診療科,年代を,非常にバラエティー豊かに揃えた執筆陣もまた見事である.死にも多様性がある.そしてそこにかかわる人の多様性もまた増している.多角的,多次元的に終末期を考えることはとても重要な考えだと思う.多数の執筆者で書く特集号にありがちな,おのおのがバラバラな方向で論じてしまうといった不細工さもない.一貫して各項で書かれているのは,今までわかっていること(エビデンス)と今までわかっていないことに対する執筆者たちの工夫や考えである.語ることをタブー視されがちな終末期の分野でもエビデンスは集まりつつある.ただ,そこには個別性も強いため,各専門家たちのエキスパートオピニオンは聴くに値する金言も多い.加えて具体的な対策や処方内容があるのは,現場で終末期と向き合う機会のあるわれわれにとっても心強い.

    そして,もう一つ特筆すべきなのは「今」という言葉だと思う.ご承知の通り,日本は世界でもトップレベルの速さで高齢化が進んでいる.その分終末期に向き合う人も必然的に多くなる.増大する終末期患者に対して,当然緩和医療の専門家だけでは追いつかない現状がすでに発生している.そして,そのなかで死に対する価値観や医療制度も目まぐるしく変化している.心不全の緩和ケアに対する診療報酬が追加されたのもその一つの証拠だと思う.「今」を含めた「これから」に終末期医療が刻々と変化していくなか,今回,総論的に終末期医療についてまとめたことには大きな意義があると思う.

    この増刊号はすべての医療者に何かしらの得るものが必ずある本である.これらを見事にまとめあげられた編者には最大限の賛辞を送りたい.

    橋本忠幸(橋本市民病院 総合内科)

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