全世界の糖尿病患者数は2040年までに6億人を超すと予想されています.本書では,インスリン・インクレチン関連薬のトピックスから,今後の治療法としての細胞治療・個別化医療の発展までをまとめて学べます.
目次
序【綿田裕孝】
概論 糖尿病研究の進歩と残された課題【綿田裕孝】
第1章 インスリン分泌低下はなぜ起きるのか?
Overview インスリン分泌の基本メカニズムと最新の研究動向【石原寿光】
1.膵β細胞における代謝-分泌連関と2型糖尿病におけるその破綻【藤本新平】
2.膵β細胞容積調節機構とその破綻―細胞増殖,細胞死,脱分化【綿田裕孝】
3.マクロファージと膵島炎症―a double-edged sword【大石由美子,真鍋一郎】
4.ウイルスによる膵島細胞傷害―ウイルス糖尿病予防ワクチンの開発は可能か?【永淵正法,勝田 仁,三根敬一朗,吉開泰信】
5.グルカゴン分泌異常―その病態生理的意義【北村忠弘,小林雅樹】
第2章 インスリン抵抗性はなぜ起きるのか?
Overview インスリン作用の基本メカニズムと最新の研究動向【門脇 孝】
1.中枢神経系によるエネルギー代謝制御とその破綻【箕越靖彦】
2.インスリンシグナルとその破綻【倉本尚樹,細岡哲也,小川 渉】
3.インスリン感受性に影響を与える褐色脂肪細胞の分化・機能【大野晴也】
4.脂肪組織の炎症【薄井 勲,戸邉一之】
5.内臓脂肪・異所性脂肪の蓄積―体脂肪分布の意義とは?【鴫山文華,熊代尚記】
6.身体不活動による骨格筋の糖代謝機能低下【眞鍋康子,藤井宣晴】
第3章 インクレチン関連薬は糖尿病治療を変えるか?
1.インクレチン分泌制御の分子メカニズム【原田一貴,坪井貴司】
2.明らかとなるインクレチン関連薬の多彩な作用【矢部大介】
第4章 新しい治療薬・治療法は何が開発されているのか?
Ⅰ.新たな創薬標的
1.治療標的としての胆汁酸シグナル【北村奈穂,渡辺光博】
2.創薬標的としてのFGF21【稲垣 毅】
3.創薬標的としてのアディポネクチン【山内敏正,岩部美紀,岩部真人,門脇 孝】
4.新規経口糖尿病治療薬の創薬標的としてのGPR119【田口貴史,松本康嗣】
Ⅱ.新たな治療法
5.腸内細菌を介した宿主エネルギー代謝と免疫制御機構―糖尿病治療に向けて【中島 啓,木村郁夫】
6.ケトン体は,新しい糖尿病治療の旗手になるのか?【植木浩二郎】
7.肥満外科手術による糖尿病改善効果のメカニズム【徳山宏丈,横手幸太郎】
8.微弱電流と温熱刺激による新規糖尿病治療【近藤龍也,荒木栄一】
9.クローズドループ型人工膵臓による血糖自動制御―インスリンポンプによる糖尿病治療の進歩【松久宗英】
Ⅲ.細胞分化の制御による治療の可能性
10.ES/iPS細胞を用いた糖尿病の細胞療法への取り組み【豊田太郎,田上 寛,中村剛士,長船健二】
11.非β細胞から膵β細胞への分化転換【佐々木周伍,松岡孝昭】
第5章 個別化医療・予防医学をどう実現するのか?
1.ヒトゲノム解析による2型糖尿病の遺伝要因の解明―GWASから全ゲノムシークエンスへ【前田士郎】
2.エピゲノム変化に主眼を置いた糖尿病研究【酒井寿郎,松村欣宏,稲垣 毅,阿部陽平】
3.プロテオミクスを用いた糖尿病関連タンパク質探索―SERPINA3の発見を例に【高橋枝里,奥村彰規,久保田浩之,鏑木康志】
4.メタボロミクスを用いた糖尿病研究―インクレチン作用メカニズムの解明と糖尿病バイオマーカーの探索を例に【横井伯英,清野 進】
5.トランスオミクスによる生化学ネットワーク再構築―疾患は多階層生化学ネットワークの破綻である【柚木克之,久保田浩行,黒田真也】
6.バイオマーカーとしての膵β細胞量【藤田直尚,藤本裕之,浜松圭太,稲垣暢也】
7.糖尿病による認知症促進機構とその予防―糖・脂質代謝の観点から【里 直行】
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- 【本書名】実験医学増刊:糖尿病 研究の“いま”と治療の“これから”
- 【出版社名】羊土社
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