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プラセントカインを中心とした運動情報の世代間伝播機構

Transmission of maternal exercise information to the offspring and the mother through placentokines
楠山譲二
Joji Kusuyama:東京科学大学大学院医歯学総合研究科生体情報継承学分野
10.18958/7683-00001-0001854-00

近年,妊婦の生活習慣が子の成人期の慢性疾患発症リスクに強く影響することが知られている.この概念はDOHaD仮説と称され,2型糖尿病はその代表的疾患である.DOHaDの影響は,子が通常の生活習慣を送った場合でも覆すことが困難であり,重篤な健康格差の原因となる.われわれは運動が健康に与える多面的有益性に着目し,妊娠期の運動には母親の肥満による子への耐糖能障害の伝播を防ぐ作用があり,この情報伝達機構を胎盤由来生理活性物質であるプラセントカインが担うことを明らかにした.本稿では,妊娠期運動効果が子に及ぼす有益性とその分子メカニズムについて最新の知見を紹介する.

胎盤,DOHaD,エクサカイン,肥満,養育行動

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