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ERストレス

ERすとれす

ER(小胞体)は生体恒常性維持に欠かせない細胞小器官であり,膜タンパク質や分泌タンパク質の翻訳後修飾や適正な折りたたみを担っている.細胞に内外から種々の刺激(飢餓,低酸素・酸化ストレス,ウイルス感染など)がかかるとER内でのタンパク質折りたたみは障害され,折りたたみ不全の変異タンパク質が蓄積しERストレス状態となる.ER内腔の状態は,ER膜上に存在するストレスセンサー(IRE1,ATF6等)によってモニターされる.ERストレスが生じると,細胞は恒常性を維持するためにUPRを発動する.UPRは①新しいタンパク質の翻訳中止,②ER分子シャペロン(BiP/GRP78)による変異タンパク質の修復,③変異タンパク質をプロテアソームで分解するER関連分解(ER associated degradation:ERAD)の誘導からなる.しかし,過度あるいは持続的なERストレスはUPRでも対処しきれなくなり,蓄積したアポトーシス誘導因子(CHOP等)により細胞は最終的にアポトーシスを引き起こし,組織・臓器の機能不全からさまざまな疾患発症につながる.(実験医学増刊3812より)

線維化 慢性疾患のキープロセス

多彩な間質細胞が織りなす組織リモデリング“fibrosis”の理解

菅波孝祥,柳田素子,武田憲彦/編

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

本コンテンツは,2018年まで更新されていた同名コンテンツを元に,新規追加・再編集したものです