天然変性タンパク質とも.固有の高次構造を示さない天然変性領域(intrinsically disordered region:IDR)を有するタンパク質で,天然変性領域を介して,相互作用するさまざまな相手方のタンパク質の高次構造へ適応でき,また自身の立体構造を臨機応変にすばやく変化させられる特徴がある.天然変性タンパク質p53の例にみられるように,同じタンパク質のなかにDNA結合領域といった固有の構造を有しながら,N末端領域に天然変性領域を有することで,特定の標的遺伝子の転写調節に多種多様なコファクターとの相互作用を状況に応じて変化させることで,多彩な制御が可能になる.天然変性領域は,2〜3種類の限られたアミノ酸が多く存在していたり,単純な配列のくり返しを示すことが多く,その速い進化速度を反映していると考えられる.天然変性領域は低複雑度領域(low-complexity domain:LCD)ともよばれることがある.代表的天然変性タンパク質としては,プリオンや筋萎縮性側索硬化症の原因タンパク質であるFUSタンパク質が知られている.(実験医学増刊3712より)
ミトコンドリアと疾患・老化
細胞内代謝プラントとしての役割を知り、ミトコンドリアを標的とした創薬に挑む
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