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ULK1複合体

ULK1ふくごうたい

ULK1,Atg13,FIP200,Atg101の4因子からなる,隔離膜形成のはじまりを担う複合体.飢餓誘導性オートファジーについては,その活性化メカニズムの詳細が解析されている.すなわち,①富栄養条件下では,mTORC1によるリン酸化で不活性化されているが,飢餓条件下では,この抑制が解除され活性化する.②活性化したULK1複合体は,隔離膜の形成場所である小胞体や小胞体とミトコンドリアの接触部位へと移行する.③その下流では,PI3K複合体(PI3Pの生成),WIPI1 および DFCP1(PI3P 結合因子),Atg12-Atg5-Atg16L1複合体(LC3-PEの生成)など,多数の因子群が協調的に働き,隔離膜の形成および伸長が進む.また,飢餓誘導性オートファジーにおける隔離膜形成のはじまりには,ULK1複合体の他に,ATG9A小胞が必要である.マイトファジーにおいても,損傷ミトコンドリア上へATG9A小胞がリクルートされることがわかっている.しかし,そのリクルートの分子機構の詳細はよくわかっていない.(実験医学2017年7月号より)

ユビキチン化を介したオルガネロファジー

不要なオルガネラを認識・分解するオートファジー

松田憲之/企画

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

本コンテンツは,2018年まで更新されていた同名コンテンツを元に,新規追加・再編集したものです