上皮間葉系移行
じょうひかんようけいいこう
EMTは細胞の分化や創傷治癒にかかわっており,がん転移では特に初期においてがん細胞の浸潤を促進していると考えられている.EMTはサイトカインTGF-βの刺激などによって誘導される.(実験医学増刊3912より)
がん微小環境に1細胞レベルで挑む
技術革新で見えてきた腫瘍内の細胞と免疫応答の多様性、がん悪性化・治療抵抗性の鍵
EMTは胎生期のさまざまな器官形成において,いったん上皮細胞としての形質を発現した細胞から間葉系細胞が形成される現象として,その逆の現象であるMET(mesenchymal-epithelial transition)とともに認知され,EMT/METの反復が多様に分化した細胞/組織によって構築される器官形成を可能にしている.その後,EMTは成体におけるさまざまな生物学的現象に関連することが明らかとなり,今日ではその概念が整理され,古典的な器官形成期の上皮細胞に認められるものを1型EMT,成体の線維化病巣において上皮細胞が線維芽細胞に形質転換するものを2型EMT,がん細胞の転移プロセスに関与するものを3型EMTと分類されている.2型EMTがその臓器線維化に関連すると考えらえる臓器は,腎臓を含めて複数の報告が認められている.ただし,本文中にも述べたが,腎線維化におけるEMTの関与は限定的であり,その関与する病態および詳細な誘導のメカニズム解明が待たれる.(実験医学増刊3812より)
線維化 慢性疾患のキープロセス
多彩な間質細胞が織りなす組織リモデリング“fibrosis”の理解
がん細胞ががん微小環境を構成するがん関連線維芽細胞(CAF)由来のTGF-β等により上皮性から間葉系細胞の形質を獲得して,周囲細胞との接着を失いがん細胞の転移に重要な遊走・浸潤能を獲得するプロセス.(実験医学増刊382より)
いま、本格化する 遺伝子治療
遺伝性疾患・がんと戦う新たな一手
上皮細胞が上皮としての性質を失い間葉系の性質を獲得する現象で,運動能,浸潤能が亢進する.(実験医学増刊3720より)
シングルセルゲノミクス
組織の機能、病態が1細胞レベルで見えてきた!
解説は発行当時の掲載内容に基づくものです
本コンテンツは,2018年まで更新されていた同名コンテンツを元に,新規追加・再編集したものです