簡潔さを磨く 3級:例文1

書類準備では「何を書くか」とともに「どう書くか」に注意すると,ぐっと魅力が増します.
研究費の申請書としてどこに着目して,どのように改めるのが効果的でしょうか.
実際の申請書を例に,推敲力を磨いていきましょう.

※実際の申請書からの抜粋を基本としていますが,申請者が特定できないように,内容に関しては架空の化学反応・テーマ・語句に改めている箇所があります.

例文:どこが良くないか考えてみよう

本研究では,ラット頭蓋骨欠損モデル等の造骨の評価に適した動物モデルに脱灰した象牙質を移植後,次世代走査型顕微鏡(Focused-ion beam; FIB/SEM)を用いて,象牙質とその周囲に形成される骨組織との境界面を3次元的微細構造レベルで観察し,それらの相互関係の組織構築を超微細形態レベルで形態学的に解析することを目指すとともに移植材料に骨髄幹細胞等を用いて脱灰象牙質と比較し,より効率的な骨再生療法を追求することを目的とする.顎顔面領域において,骨造成を期待する治療法の一つに骨欠損部に対して脱灰象牙質を移植する補填術があり,近年臨床でも用いられている.その形成骨と脱灰象牙質の境界面構造およびその周囲組織構築の詳細については臨床的に重要であるものの,未だ明確ではない.

推敲力養成道場:目次

児島 将康

(久留米大学客員教授,ジーラント株式会社代表取締役)

書籍「科研費獲得の方法とコツ」「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」著者.毎年の科研費公募シーズン前後に20件近くの科研費セミナーで講演し,理系・文系を問わず申請書の添削指導を行っている.令和6年4月より研究者を支援するジーラント株式会社(https://g-rant.org/)を立ち上げ,活動している.

科研費に関する書籍・ウェビナーや制度の変更点など,科研費申請に役立つ情報を発信しております.
研究生活の役に立つ書籍なども少しご紹介しています.