簡潔さを磨く 初段:解説

推敲例

なぜよくないのか?

例文は審査委員を刺激する可能性のある言い回しが多い.

審査委員の立場になって考えて欲しい.申請者自身が研究計画に『何も問題はない』と宣言した場合,たとえ本当に問題がなくても,審査委員には “本当かな?”“よく確認しなくては”という気持ちが生まれる.一度そのような気持ちをもってしまうと,申請書のよくない点が目につきやすくなる.

どのように改良すればよいか?

読み手を刺激する言い回しを,不必要に,無自覚に使わない.こうした言い回しは,地の文など研究内容以外の,あまり注意を向けていない箇所に含まれることもあるので注意しよう.また,推定や意見ではなく,根拠を示すこと.申請書は意見ではなく,厳密な根拠や事実に基づいて書くべきものである.そのために必要なら参考文献を引用する.

例文では,余計な言葉や大げさな言い方はカットする.なお,『自信がある』 とは主観的な記述.このように書く必要はないし,自信については客観的事実 の積み重ねでアピールする方がよい.

改善例

推敲力養成道場:目次

児島 将康

(久留米大学客員教授,ジーラント株式会社代表取締役)

書籍「科研費獲得の方法とコツ」「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」著者.毎年の科研費公募シーズン前後に20件近くの科研費セミナーで講演し,理系・文系を問わず申請書の添削指導を行っている.令和6年4月より研究者を支援するジーラント株式会社(https://g-rant.org/)を立ち上げ,活動している.

科研費に関する書籍・ウェビナーや制度の変更点など,科研費申請に役立つ情報を発信しております.
研究生活の役に立つ書籍なども少しご紹介しています.