A:大学によって異なるのですが,K大学の場合,全学部の申請書をまとめて最終的に学術振興会に提出の処理をするのは経理課です.申請書のチェック,様式などですが,これをチェックするのは,医学系では研究推進課,文系学部は各学部の事務が担当します.科研費の締め切り最終日に学術振興会に送信しようとすると,万が一のことが起きる可能性があるので,あらかじめ余裕をもって経理課は締め切りを設定します.その設定に合わせて各学部の担当部署が,さらに早く締め切りを設定することになります.そのため,実際の学術振興会の締め切りよりも,学内の締め切りがかなり早くなってしまうのです.
A:まずなんといっても処理する数の多さです.文系学部の申請数はそれほど多くないのでいいのですが,医学系では毎年300件前後の申請があり,それを実質1人で処理しなければなりません.チェックだけでも大変な数です.しかも一度電子申請を行ったものを取り消してほしいなど,締め切り間際の連絡が多く,その時期には事務室の電話は鳴りっぱなしです.
事務では申請書のチェックをします.よく訂正を求めるのは,様式がずれているものなどです.申請書の書式が変わることが多いのに,前年度の古い書式のままで提出する先生も結構います.
また先生方に修正点を連絡するのですが,学会や研究会などで不在の先生も多く,捕まえるのにひと苦労です.申請書をメールで添付して送ってくる先生もいて,これも連絡をとるのに大変です.秘書さんや研究補助員さんが出張中の先生からの指示を受けて訂正することもあります.
困るのは,ほとんど何も書いていない申請書を出す先生がいることです.講座や教室で教授など上の方から絶対に出すように命令されて,仕方なくほんの少しだけ書いて出す先生がいます.ひどいものになると概要だけ1行しか書いてないものもあります.もっとも臨床の先生方は非常に忙しいので,気の毒には思いますが.それから研究計画のところで,毎年同じ研究計画を書いているときなども,先生に訂正を求めます.
事務では様式などのチェックはできるのですが,内容に関してのチェックはできません.それでも私たちに「申請の書き方は?」「どうやったら採択されるのか?」「応募期間は何年にしたらいい?」「研究費の額はいくらにしたらいい?」などの,こちらでは答えることのできない質問も結構きます.
A:まず,ちゃんと公募要領を読んでほしいということです.公募要領は毎年何らかの変更があります.申請書を書く前に,まずその年の公募要領をよく読んでほしいと思います.
それから,申請書を作成するのなら,ただ出すためにつくるのではなく,ちゃんと採択されるための申請書を書いてほしいです.
最近,医学部で研究をやる先生の数が減って,応募数が伸びないのが悩みです.研究費の獲得はその先生の業績になるとともに,大学にとっても非常に重要なことです.もっと多くの先生方に頑張って科研費を獲得していただきたいです.