毎年,科研費申請とその採択時期になると秘書として「ルンルン気分」になります.また新しい研究課題の申請のお手伝いができますし,私がかかわった申請書が採択されたりすると,研究機関で仕事をしている秘書として自信がもて,1年更新の非常勤職員ではありますが,やる気も出てきます.自慢ではありませんが,私が今まで携わった申請書の採択率は90%を越えると思います.
ある年,10年以上応募資格がなかった先生が,10月16日に着任され,11月はじめに締切りの科研費に3件申請し,見事2件採択されました.その方は研究内容や業績は素晴らしいのですが,10年も大学を離れていたために,e-Radとは? エフォート率とは?? の状態でした.締め切りまでの時間がないし,その方にとってはほとんどはじめての科研費応募でしたので,私のもつ能力の最大限の力を出し,また巧みな技を使い,3件応募したなかの2件が採択されました! 私が今まで携わって採択された40本近い科研費のなかでも,今までの秘書人生のなかでも,一番嬉しかったできごとです.
ここで,この本を熟読されてらっしゃる先生方は多分,「巧みな技」とはどのようなものなか,ぜひ知りたいと思ってらっしゃいますよね? それではお教えしちゃいますね.
かなり個人的な考え方ですが,まず,秘書が読んでもわかるような書き方でないとダメだと思います.細目化されている分野に応募するのですが,審査委員の方々は,世の中のすべての研究に目を通しているのではありません.もちろん,自分の分野でもわからないことだらけなのです(多分).大学院生に頼むのも手ですが,自分の部下になる大学院生に「申請書を読んで」とお願いしても,上司の機嫌を損ねることなんてできませんから,相当仲のよい上下関係じゃないと無理です.ですので,ここは詳しい研究内容を知らない秘書さんにお願いするのが一番なんです! 特に毒舌な秘書さんがおすすめですね.
次に,科研費の申請書は目立つことをした方が勝ちだと思います.数年前の科研費申請書だと,カラーを使うことも可能でしたが,現在は審査委員に配布される申請書は白黒印刷となっていますので,ココが重要というところには,
なんて,裏技をつかっちゃうんです.もちろん,フォントをボールドにするのは当たり前ですが,明朝体を使っていて,ここだけゴシックというのもありです.
また,業績欄が少し寂しい方は,自分の論文を発表している雑誌の号の表紙をこの欄にもってきたりするのも1つの手だと思います.もちろんインパクトファクターの高い雑誌が好印象です.
ともかく,先生方にぜひともお伝えしたいのは,もう少し秘書を利用してほしいということです.それも上手にほめながら仕事を頼んでもらえると,とってもテンション上がります.例えば,「僕,文章下手でさぁーー,科研費の申請書って,秘書さんとかが読んでもわかるような内容の書き方をした方が採択されやすいんだって.ぜひ○○さんに読んでもらって,内容でわかりにくいところとか,チェックしてもらえると,助かるんだけど」とか,「業績部分,タブとか設定がわかんないんだぁ.○○さんいつもきれいに整えてくれるからぜひ,今回もお願い!」とか,たくさんほめながら仕事を頼んでみてください.きっと心をこめて丁寧に仕上げてくれると思います.それに採択されたときは,予算の使い方など,秘書さんに調べてもらわないといけませんからね.なにはともあれ,秘書さんを大事にしてくださいね.