劇的に診断力上がる!
診断推論×ロジックツリー

最終回
10

疼痛編 ❷
実践で使いこなす!
疼痛のロジックツリー

2023年3月24日 公開

はじめに

10回にわたって連載してきたロジックツリー診断推論の連載も,いよいよ今回が最終回です.疼痛の診断推論についてより深く学びながら,これまで学んできた知識を実践で使いこなせるようにしていきましょう!

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1年後の総合内科外来にて

―研修医君の臨床研修開始から約1年が経過した.

研修医

研修医:看護師さん.先ほどのめまいの患者さんですが,四肢の運動失調や構音障害などは認めませんでしたが典型的な耳性めまいの病歴や眼振などがなく,突然発症であることや診察上体幹運動失調が認められたことが気になります.小脳虫部の梗塞の可能性が否定できないので追加で頭部MRIを撮影しましょう.

看護師さん

看護師:わかりました(最近,内科外来の担当に配属されたけれど,この研修医君ってドクターって超優秀ね!ホントに初期研修医なのかしら?)

専攻医さん

専攻医:さすがは研修医君ね.1年前はダメ研修医と呼ばれていたことが嘘のようだわ.もう本当に一般内科外来枠を持ってもいいぐらいのレベルよ.

研修医:ありがとうございます……(そ,そんなふうに呼ばれていたのか,知らなかった……).

指導医先生

指導医:研修医君だけじゃなくて,専攻医さんもすごく成長しているよ.以前は複雑な症例でよく考え込んだりして診察に時間をとられていたけれど,最近はかなり診察のスピードが速くなってきているね.

専攻医:ありがとうございます.ロジックツリーのおかげで優先順位のつけ方に慣れた気がします.

指導医:そういえば,先ほど紹介状が送られてきた患者さんがいて君たち2人に診察をお願いしようかと考えているんだけれど,任せてもいいかな?

研修医専攻医:わかりました!

心窩部痛と息切れの患者さんが受診した

症例

80歳代女性.自宅で夫と長女夫婦と暮らしておりADLは自立.50歳頃より内科クリニックに通院しており糖尿病で内服管理されている.3カ月程前に左手の手根管症候群にて近医整形外科よりロキソプロフェンを頓用で処方された.2週間ほど前から心窩部痛と歩行時の息切れあり.3日ほど前から症状が憎悪してきたため本日当院の総合内科外来を紹介受診.既往歴は糖尿病,高尿酸血症.定期内服薬はシタグリプチンのみで血糖はここ最近ずっと安定しているとのこと.
体温 36.3℃,血圧 112/70 mmHg,脈拍数 98回/分, SPO2 97%(room air)

研修医:心窩部痛と歩行時の息切れですか.両方の主訴を一元的に説明できるかなあ.

専攻医:まず2つの主訴を一元的に考えることは大切だけど,高齢なので複数の疾患が同時に重なっている可能性もあるわね.息切れはあるけれどSPO2の数値はそこまで低くはないわ.バイタルも安定しているので緊急性はなさそうね.まずは以前教わったように心窩部痛や息切れがどのような性状や経過だったのかをきちんと問診で確認していきましょう.

研修医:わかりました!何はともあれ正確な病歴聴取が大切ですね.

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