不眠は入院患者の約50%が入院中の何らかの時期に訴える症状で,倦怠感と並んで頻度の高い症状です.不眠といえば,「一晩くらい寝なくても大丈夫」とか「眠れないくらいで死なないから」などと扱うにも足らない不定愁訴として済まされてしまいがち,「眠れないってうるさいから睡眠薬でも適当に出しておけ」とあまりアセスメントもしっかりされずに処方がなされがちな印象があります.しかし,患者からの要望を調査した研究によると,疼痛への対応と不眠への対応には同等に医療的な専門的対応を患者は望んでいることが明らかになっています.不眠は患者の生活の質(quality of life:QOL)に直結してもいます.不眠を医療者は軽く考えがちですが,患者は不眠への対応を強く望んでいるのです.
不眠に睡眠薬を投与しておしまい,ではありません.不眠の背景にはさまざまな心理的な問題・不適切な生活習慣も絡みます.「眠れないので酒を飲む」のはあなたでしょうか?「睡眠導入薬よりも酒の方が安全」という誤った対処をしている患者・医療者がいるのが現状です.寝酒はアルコール依存や肝疾患,生活習慣病,ひいては悪性腫瘍の入り口にもなります.適切な指導と心理的サポートが重要であること,その道のプロの技を堪能してください.
第2特集 急性期のせん妄 序文(一部抜粋)
「重症患者に発生するせん妄は多臓器障害の一分症としての中枢神経系障害であり,その発現は患者予後を左右する独立危険因子でもあるため,呼吸障害や循環障害,凝固異常,肝・腎機能障害などの重要臓器障害と同列の視点で管理する必要がある」
せん妄に対するこのような認識は,特に集中治療専門医が常駐するclosed-ICUや集中治療看護師の間では広く一般的となりつつあるが,本邦の大多数を占めるopen-ICUやその他の施設では,まだまだ野放しに近い状態ではないだろうか.このような施設では研修医が対応を一方的に任され,指導医による適切な指示を受けることもできずにベッドサイドで途方に暮れているばかりでなく,患者にとっても不利益を招きかねない状況ではないかと危惧される.
大暴れする患者を前にして,「ええい,眠らせてしまえ」で終わらずに,「どうしてこうなったんだろう」と考え,「次はこうならないように頑張ろう」と感じてほしい.本特集によって,せん妄対策の重要性をも認識した臨床医が育ち,日本におけるせん妄管理がさらに一段深まることになれば,編者としても幸いである.
病棟で対応を任されて困りがちな“不眠”と“せん妄”の診かたを2本立てで特集!基本的な考え方から、原因検索のしかた、不眠とせん妄の鑑別、治療の注意点、追加処方を含めた薬の使い方まで、正しい対処がわかる!
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