●人工呼吸器を安全で有効な装置とするために(江木盛時)
人工呼吸器は生命維持装置であり,人工呼吸器を使用することで多くの患者を救命することができる.しかし,人工呼吸器に関するトラブルは,致命的な結果へとつながる危険性もある.緻密な機能とプログラムを積み込んだ人工呼吸器が汎用される現在においても,器械である以上,使用者の技量により人工呼吸器は危険な装置にも安全で有効な装置にもなりうることを忘れてはいけない.
私がレジデントの頃,人工呼吸や集中治療を指導してもらった上司から最初に教わったのは,“人工呼吸離脱の必須条件は,人工呼吸が開始された原因が解決されていることである”だった.人工呼吸について教わり学ぶうちに,人工呼吸を安全にそして的確に使用するためには,呼吸だけではなく,循環を含めた臓器機能の補助,感染制御,鎮静やリハビリなどさまざまな全身管理の知識や技量が必要であることがわかった.今思えば,人工呼吸は私にとって,全身管理に興味を持ち,麻酔・集中治療学を学ぶことになった最初のきっかけだったと思う.
●レジデントの“座右の書”(長谷川隆一)
レジデントにとって,人工呼吸器は臨床でよく出会うのだが,正直とっつきにくい.私もそうだった.しかしこれまでの人工呼吸器のテキストは,モードの解説は横並びで味気なく,今目の前にいる患者にどのモードを使って,どう管理していけばいいかわかりやすく記述したものはあまり見あたらない.特にレジデント向けと謳ってこれだけのボリュームのものはほとんどない.
そこで本特集では,人工呼吸器を難しくしている「各モード」の解説に加え,それらのモードをどう使い分けるのか,どんなことで迷いやすいのか,といったレジデントの悩みを少しでも減らせるように執筆していただいた.さらに,NPPVや小児の人工呼吸,VAPへの対策,鎮静やリハビリ,人工呼吸からの離脱まで,欲しい内容がすべて網羅されるものとなった.同時にその充実した中身には,それぞれの先生方の熱いメッセージが織り込まれていることに気づくであろう.
A/CやSIMVなどのモード選択からモニタリング,アラーム対応,鎮痛・鎮静,人工呼吸器の離脱まで,戸惑いがちな人工呼吸管理を基本からわかりやすく解説.今日から現場で自信をもてるエッセンスが満載!
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