科研費獲得の方法とコツ 改訂第2版

  • 児島将康/著
  • 2011年08月10日発行
  • B5判
  • 191ページ
  • ISBN 978-4-7581-2026-5
  • 4,070(本体3,700円+税)
  • 在庫:なし
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最新速報 2012年9月6日更新
速報」について
科研費の制度は常に変更しています.「速報」では本書の内容から更新された情報を児島先生に随時紹介していただきます.

大ベストセラー!情報更新して改訂版発行!! 科研費の獲得に向けた戦略から申請書の書き方まで,気をつけるべきポイントやノウハウを徹底解説.著者が使用した申請書を具体例にした,まさに研究者のバイブル!!

目次

1章 科研費の概略

1.科研費とは?

  • どうやって科研費を獲得するのか?
  • 直接経費と間接経費:2つの科研費

2.科研費の種類-科研費にはどんな種目がある?

  • 基盤研究と若手研究
  • 挑戦的萌芽研究
  • 研究活動スタート支援
  • 新学術領域研究

3.応募分野の種類-応募分野にはどんなものがある?

4.審査の仕組み

  • 第1段審査=書面審査
  • 第2段審査=合議による審査

5.申請から採択まで

  • 公募
  • 受付
  • 第1段審査
  • 第2段審査
  • 交付内定

6.科研費の現状について-平成23年度のデータより

  • 科研費の基金化によってどのようになるのか?
  • 基金化の具体的な仕組み
  • 採択率の変化
  • 応募件数の変化
  • 研究費の配分額の変化
  • 応募種目の変化
  • その他の変化
  • 今後への期待

7.科研費に関する資料

  • 科研費に関するウェブサイト
  • 科研費に関する書籍
  • その他,役に立つ資料

8.他の省庁・民間組織が公募する研究費

  • 厚生労働科学研究費
  • 省庁関連の独立行政法人の研究費
  • 民間の研究費

コラム

  • 初めての科研費(Eくんの場合)
  • 審査した申請書の採択状況
  • 初めての科研費(K教授の場合)
  • 研究費はいくら必要か?
  • 初めての科研費(Fくんの場合)

2章 科研費応募の戦略

1.応募種目の選び方

  • 基盤研究,若手研究への応募
  • 挑戦的萌芽研究への応募
  • 新学術領域研究への応募
  • 研究活動スタート支援
  • 複数の種目への応募

2.応募分野の選び方

  • 分野選びの注意点
  • 細目で異なる採択件数
  • 異分野への応募

3.採択課題の調査-応募分野を選ぶにあたって(1)

4.審査委員は誰?-応募分野を選ぶにあたって(2)

5.研究パートナーの選び方

  • 研究分担者,連携研究者,研究協力者
  • 共同研究者の人選の採択への影響

6.科研費申請のアイデアのまとめ方

コラム

  • その後の科研費(K教授の場合)
  • 審査委員は知り合いだと有利なのだろうか?
  • どんな申請書が印象に残るか?
  • 科研費事務担当者の奮闘記

3章 申請書の書き方

1.申請書を書く前の注意点

  • 申請書は審査委員のために書く
  • 申請書に求められるわかりやすさ
  • 申請書はダウンロードして使用する
  • 最初はワープロで下書きを

2.研究課題名

3.研究目的

  • 研究計画の概要:冒頭に研究計画の概要を書く
  • 研究目的の記載順に制約はない
  • 研究の学術的背景
  • 研究期間内に,何をどこまで明らかにするのか
  • 当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義
  • 研究目的欄の注意事項

4.研究計画・方法

  • 基盤研究の研究計画・方法
  • 若手研究の研究計画・方法
  • 研究計画・方法欄の注意事項

5.今回の研究計画を実施するに当たっての準備状況等

6.研究業績

  • 記入に当たっての注意事項
  • 研究業績欄の書き方のヒント
  • 文献入力のための便利なヒント

7.これまでに受けた研究費とその成果等

8.人権保護及び法令等の遵守への対応

9.研究経費の妥当性・必要性

10.研究経費について

11.研究の応募・受入等の状況・エフォート

  • エフォートとは
  • エフォートの採択への影響
  • エフォート欄の注意事項

コラム

  • 審査委員はあなたの申請書を何分見るか?
  • 初めての科研費(Aくんの場合)
  • 初めての科研費(Bさんの場合)
  • 事業仕分けと科研費
  • 事業仕分けよりも,もっと怖いこと
  • 審査員経験者からの申請書に対するアドバイス

4章 申請書の仕上げと電子申請

1.申請書の見栄え

  • フォントの種類と大きさ
  • 余白を生かす
  • 箇条書きや小見出しを使う
  • 文字を強調する
  • 難しい単語を避ける
  • 漢字,英語,カタカナを適切な割合に

2.図の挿入

  • 図の注意点
  • 申請書へ図を入れる方法
  • 申請書をPDFファイルに変換する方法

3.電子申請の実際

  • 電子申請前の準備
  • アクセスから提出まで

4.最後のチェック

  • チェック用の申請書をダウンロードする
  • チェックするポイント
  • 訂正箇所に気づいたときはどうしたらよいのか?

コラム

  • 審査員がうんざりする申請書
  • 初めての科研費(Cさんの場合)
  • 科研費今昔物語
  • 科研費を獲得した後に
  • 事業仕分けよりも,もっともっと怖いこと
  • 研究者と報告書

5章 採択と不採択

1.採択されたとき

  • 採択の通知
  • 採択後の手続き

2.不採択のとき-採択されなかったら,どうする?

  • 不採択の通知
  • もし採択されなかったら…

3.次回の応募に向けての準備

4.科研費以外の研究費への応募の可能性

  • 通常の募集期間以外に公募される科研費
  • 他省庁の研究費
  • 民間の研究助成の応募時期

コラム

  • 初めての科研費(Dくんの場合)
  • 科研費がなくても生き延びる方法
  • 科研費に採択されるための最良の方法
  • 大物研究者はどのように科研費をもらってきたのか?

付 録

  • 付録1.実際の申請書
  • 付録2.科研費なるほどQ&A
  • 付録3.何度も使える 科研費申請To Do&Check リスト

本書の元になった実験医学誌連載「科研費獲得の方法とコツ」

第3回 さあ,書きはじめよう!(実験医学2009年9月号)より抜粋

2 冒頭に研究内容の要旨を書く

ともかく,前述の通り審査の時間に制限がある(※編集部注:1人の審査員が100課題くらいの申請書を相手にしなければならないので,どうしても1つの申請書をチェックする時間は限られる)以上,申請書の最初のページ「研究目的」の部分がすべてを決めるので,この部分を全力で書くこと.しかも1ページ目の,最初の数行orパラグラフで決まると言ってもいいだろう.最初の部分で,何を研究するのかを審査員に十分に理解させ,その後の部分を読んでもらえるようにしなければならない.

図1

クリックして拡大

そのためには,最初に研究目的や研究項目を箇条書きなどで簡潔に書いておくことをお勧めする.最初に全体の構想や内容のサマリーを書いておくと断然審査員に理解してもらいやすい.冒頭にサマリーがあるかないかは,審査員が目的地までの地図を与えられて車を運転するか,地図なしで知らない土地を運転するか,ぐらいの違いがある (図1).

実は平成20年度の申請書から研究目的の欄は次のようになっている.

「本欄には,研究の全体構想及びその中での本研究の具体的な目的について,冒頭にその要旨を記述した上で,適宜文献を引用しつつ記述し,特に次の点については,焦点を絞り,具体的かつ明確に記述してください……」

読んでおわかりの通り,「冒頭にその要旨を記述」とちゃんと書いてある.でも意外に申請書の記述を読んでいないのか,あっさりと本文から開始している申請書がまだまだ多い.

3 研究目的の記載順に制約はない

申請書の研究目的は「(1)研究の学術的背景,(2)どこまで明らかにするのか,(3)特色・独創的な点,について具体的かつ明確に記述してください」となっているが,必ずしもこの順番に書いていく必要はない.(1)〜(3)の項目は,この順番に書けという絶対的な規則ではない.したがって,読む人が,最も理解しやすいように,ときには記載項目の順番を考えて書くべきだ.特に(1)の学術的背景を最初に長々と書いて,肝心の申請者の研究内容になかなかたどり着けないということは避けよう.

そのためには何度も言うように,最初に申請書の研究目的や研究する項目を箇条書きで書いておくことをお勧めする.そうすると,審査員にどのような研究を行うのかを冒頭ではっきりと印象づけることができて,それ以降の内容も理解してもらいやすくなり,効果的だと思う.

4 研究目的の項についてその他のヒント

1) 研究目的をわかりやすく書くこと

ともかく,これに尽きる.審査員はこの申請内容については予備知識もなにもなく,まったく知らないと思うこと.「わかりやすく」という表現自体抽象的でわかりにくいが,私が考える「わかりやすく」のレベルはというと,

図2

クリックして拡大

  • 申請しようとしている分野と,違う分野の人にもわかる.
  • ポスドクはいうまでもなく,大学院生でも読んでわかる.
  • 恥ずかしいくらいにわかりやすい文章である.
  • 自分でこれはあまりにやさしく書きすぎていると思う.

などというくらいがちょうどいい.

2) 予備実験のデータなどを入れる

すでに発表済みの研究結果だけでなく,未発表の予備実験のデータ(もちろん研究計画がうまく行くことを示すデータ)を入れておくといい.こうすると,研究が進んでいて,興味深い実験データが出ているという印象を与えて,研究計画に説得力が増す.ただし,もちろん未発表データだらけでは逆効果の場合もあるのでご注意を.

3) 図を使って視覚的に

研究計画や予備データを説明する図を入れると非常にわかりやすい.ただし,複雑な図はだめで,一目で理解できる簡単なオリジナルな図にすること.他人の論文や総説から取ってきた図は使わない方がいい.あくまでオリジナルで(図2).

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  • 【本書名】科研費獲得の方法とコツ 改訂第2版
  • 【出版社名】羊土社

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※この表は本書のみご購入いただいた場合の費用をまとめたものです.他の書籍を同時に購入する場合はお申し込み金額や重量により費用が異なってまいりますのでご注意ください.

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平成25年度の科研費公募要領発表:主な改正点は3つ (2012.09.06 掲載)

今年度も9月1日付けで平成25年度の科研費応募が開始された.毎年のことだが,11月9日(金曜日)の締切(もちろん実際には研究機関での締切は10月下旬)まで,申請書作成の悩ましい日々が始まった.

本年度改正された主な点を紹介していくと.

1.「系・分野・分科・細目表」が平成15年度以来の大幅な改正になった
ざっと見た限り,生物系での分科再編が多いようだ.採択への第一歩は,研究内容に適した分野に応募することであることをお忘れなく.
2.新学術領域研究の公募研究への応募・受給が2件になった
これまでは1件しか応募できなかったが,これが2件に増えた.新学術領域研究は,基盤研究や若手研究と重複して応募できるので,適した領域があれば積極的に応募することをお勧めする.
3.若手研究(B)の審査希望分野として2つの細目が選定可能になった
例えば,摂食調節ホルモンの研究を行っている場合,ホルモンを重視して「内分泌学」か,あるいはメタボリックシンドロームとの関連で「代謝学」にするか,悩ましいときでも,両方の細目を選定できるのだ.
この場合の審査過程だが,これまでの「1つ」の細目選定と同じく,2段階の審査が行われる.第1段の書類審査では,選定した2細目ごとで審査が行われる. 第2段審査では,新たに「2つの」細目を選定した研究計画のみを審査する委員会が設けられ,「1つ」の細目選定を選んだものとは別の審査が行われる.審査 の詳細は10月上旬頃に公表される予定であるが,どのような審査過程になるのか興味深い.

このホームページをご覧になっている方は,ぜひとも頑張って来年度の科研費を獲得して欲しい.

参考情報

本書関連項目

  • 1章-5.申請から採択まで(P25)
  • 2章 科研費応募の戦略(P46)

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