外界と接する最前線で体を守るシステムで,医学分野はもちろん食品・化粧品開発への応用も注目される“生体バリア”について,基盤となる分子・細胞の理解から疾患研究,産業界の先進的な研究まで幅広く紹介します.
目次
序にかえて 「生体バリア」を考える【清野 宏,植松 智】
第1章 生体バリアを支える分子・細胞・組織基盤
Ⅰ.細胞による物理的バリア
1.腸管上皮細胞と生体防御【金谷高史,大野博司】
2.タイトジャンクションによる上皮細胞間バリア機能―クローディンを軸とした生体システム構築【鈴木浩也,田中啓雄,田村 淳,月田早智子】
Ⅱ.細胞分泌物による化学的バリア
3.腸管における粘液層の役割とその恒常性維持機構【奥村 龍,竹田 潔】
4.腸管上皮細胞が発現する糖鎖を介した粘膜バリア形成【後藤義幸,清野 宏】
5.抗菌ペプチドによる自然免疫【綾部時芳,中村公則】
6.腸管IgA抗体による腸内細菌制御【岡井晋作,新藏礼子】
7.濾胞性ヘルパーT細胞と濾胞制御性T細胞による腸管IgA産生制御【河本新平,Sidonia Fagarasan】
Ⅲ.免疫・間葉系細胞による生物学的バリア
8.抗原提示細胞による粘膜免疫制御機構【香山尚子,竹田 潔】
9.樹状細胞による腸管免疫恒常性維持機構【大田友和,改正恒康】
10.粘膜間葉系細胞による免疫末梢教育と上皮細胞分化制御【倉島洋介,山本大樹,清野 宏】
11.ILC(自然リンパ球)とバリア機能【本村泰隆,茂呂和世】
12.皮膚バリアにおける好塩基球の重要性【長尾峻久,山西吉典,烏山 一】
Ⅳ.常在細菌叢による生物学的バリア
13.腸内細菌叢による免疫バリア調節機構【新 幸二,田之上 大,本田賢也】
14.腸内細菌由来の代謝物によるバリア修飾【長谷耕二】
第2章 臓器特異的バリアとその破綻による疾患
1.皮膚バリアと疾患①:天疱瘡―デスモグレインに対する細胞性免疫とバリア機能障害【高橋勇人,天谷雅行】
2.皮膚バリアと疾患②:アトピー性皮膚炎【野村尚史,江川形平,椛島健治】
3.消化管バリアと疾患①:炎症性腸疾患【大島 茂,渡辺 守】
4.消化管バリアと疾患②:放射線性消化管症候群―放射線による腸上皮バリア破壊における自然免疫の役割【武村直紀,植松 智】
5.消化管バリアと疾患③:大腸がん―腸内細菌とがん環境との関連性【杉山大介,西川博嘉】
6.呼吸器粘膜・肺上皮バリアと疾患―環境と免疫応答の境界面としての気道上皮【平原 潔,中山俊憲】
7.口腔バリアと疾患―その破綻とう蝕病原性細菌が引き起こす全身疾患【野村良太,仲野和彦】
8.生殖器バリアと疾患:性感染症に対する生殖器バリアの重要性【飯島則文】
第3章 生体バリアを標的とした疾患の制御
1.消化管疾患に対する糞便微生物移植法の将来展望【水野慎大,金井隆典】
2.オルガノイド移植による腸上皮再生と臨床応用【中村哲也】
3.経口・経鼻粘膜ワクチンによる感染症の制御【幸 義和,清野 宏】
4.IgA抗体誘導型経鼻インフルエンザワクチンによる感染症の制御【長谷川秀樹】
5.腸管上皮オルガノイドおよび単層化腸管上皮細胞の作製とその応用【佐藤慎太郎,高橋 裕,清野 宏】
6.食用油を起点に形成される生体内脂質環境の構築とアレルギー疾患の制御【澤根健人,國澤 純】
第4章 産業界における生体バリア研究
1.形質細胞様樹状細胞を活性化する乳酸菌【藤原大介】
2.ヨーグルトによるアンチエイジング効果の可能性【小林杏輔,浅見幸夫】
3.食事と加齢による腸内細菌叢への影響【小田巻俊孝,加藤久美子,清水(肖)金忠】
4.プロバイオティクスと腸管バリア【南野昌信】
第5章 バリア研究における今後の展望
1.メタゲノム解析の国内外の状況と今後―推奨プロトコールの確立と健常人マイクロバイオームデータベースの構築をめざして【亀山恵司,松本弥生,的場 亮,坂田恒昭(マイクロバイオームコンソーシアム組成準備ワーキンググループ)】
2.わが国におけるあるべき科学技術イノベーション政策―主にヒト微生物叢(マイクロバイオーム)の研究開発戦略について【辻 真博,西野恒代】
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- 【本書名】実験医学増刊:生体バリア 粘膜や皮膚を舞台とした健康と疾患のダイナミクス〜バリアを司る分子、細胞、常在細菌の理解から新たな治療・予防法、プロバイオティクスの開発へ
- 【出版社名】羊土社
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