21世紀に入ってから,神経系と免疫系にまたがる研究テーマが増え,好むと好まざるにかかわらず,多くの研究者が「神経免疫」にかかわりをもつようになった.現在では,「神経免疫」という言葉に違和感を感じる読者は少ないかもしれない.しかし,20世紀の終わり頃まで,神経系と免疫系は,それぞれ交わらない閉じた世界であり,「神経免疫学(Neuroimmunology)」は神経と免疫の隙間を埋める小さな学問領域としての位置づけに甘んじていた.ちょうど神経科学ではニューロン回路網の研究や細胞生物学が隆盛を極め,免疫学ではT細胞やB細胞の基礎的な知見の増大,あるいはサイトカインの発見が相次いだ時代であった.しかし神経系と免疫系を切り分けたままでは解決できない科学的・医学的な問題が数多く存在することが明らかになり,この10年間で状況は大きく変化した.…
山村 隆(国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部)
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神経系と免疫系はそれぞれ巨大ネットワークとして生命機能を司っているだけでなく,相互に影響を与え合っていることが知られています.本書ではそのメカニズムから疾患との関連,治療応用まで最新知見を紹介します.
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