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細胞老化とSASP:生理的役割と治療標的としての可能性

Significance of cellular senescence and SASP: From physiological role to potential therapeutic target
脇田将裕,伊藤甲雄,原 英二
Masahiro Wakita1)/Koyu Ito2)/Eiji Hara1)2):Laboratory of Aging Biology, Immunology Frontier Research Center, Osaka University1)/Department of Molecular Microbiology, Research Institute for Microbial Diseases, Osaka University2)(大阪大学免疫学フロンティア研究センター1)/大阪大学微生物病研究所2)
10.18958/7381-00001-0001084-00

先進国では寿命が伸びたことで加齢性疾患の発症リスクが増大し,その対策が急務になっている.加齢性疾患の原因として慢性炎症が関与していると考えられており,慢性炎症を起こす一因としてSASPが注目されている.SASPとは細胞老化を起こした細胞から炎症性サイトカイン,ケモカイン,増殖因子などさまざまな因子が分泌される現象であり,がんをはじめとするさまざまな加齢性疾患の発症や病態の悪化に関与することが明らかになりつつある.一方で,SASPには損傷治癒など生体の恒常性維持を担う役割もあることから,生体内の老化細胞は状況に応じて有害または有益な相反する作用を有する可能性が示唆されている.そこで,本稿ではSASPがもつ生理作用とその制御方法について考察する.

細胞老化,SASP,senomorphic,senolytic

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