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褐色脂肪組織とインスリン感受性:BCAA窒素フラックスを介した熱産生非依存的制御機構

BCAA nitrogen flux in brown adipose tissue controls insulin sensitivity
米代武司,梶村真吾
Takeshi Yoneshiro 1)/ Shingo Kajimura 2):東北大学大学院医学系研究科分子代謝生理学分野1)/ハーバード大学医学部ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター内分泌・糖尿病代謝学分野2)
10.18958/7641-00036-0001778-00

肥満やインスリン抵抗性は分岐鎖アミノ酸(BCAA)の代謝異常と密接に関連している.BCAAは褐色脂肪組織(BAT)に活発に取り込まれるものの,グルコースや脂肪酸に比べるとTCA回路中間体の総量やエネルギー消費量への寄与度は限定的である.一方,BATでBCAAが分解されて生じたアミノ基は,グルタチオンなどの酸化ストレス耐性関連代謝物の合成に利用され,肝臓および全身性のインスリン感受性の制御に寄与することが明らかとなった.このように,BATによる代謝恒常性制御機構は熱産生にとどまらず,褐色脂肪の多様な機能を理解することは,なぜ褐色脂肪が「よい」脂肪であるかを解き明かす重要な手がかりとなる.

分岐鎖アミノ酸,窒素フラックス,インスリン感受性

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