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undruggableを克服しつつあるRASシグナルとがん治療

衣斐寛倫
Hiromichi Ebi:Division of Molecular Therapeutics, Aichi Cancer Center Research Institute/Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics, Aichi Cancer Center Hospital(愛知県がんセンター研究所 がん標的治療TR分野/愛知県がんセンター病院 ゲノム医療センター)
10.18958/7031-00002-0000185-00

RAS遺伝子変異は,がんで最も高頻度に認められる遺伝子変異の1つである.RAS変異は発見より40年が経過したが,これまで直接阻害薬が存在せず,創薬が不可能な分子(undruggable)と考えられてきた.しかしながら,結晶構造解析などを用いた創薬手法の進歩により,2021年に初の変異RAS特異的阻害薬であるsotorasibが承認され,undruggableからdruggableへと変貌しつつある.本稿では,RAS変異阻害薬開発の歴史をたどるとともに,今後の治療開発の方向性を考えてみたい.

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