第7回 コンピュータが起動しないんだけど…… 〜原因その3 HDDが壊れた場合
CASE
起動途中で止まっちゃった…
どうしよう…
羊土社で過去に実際にあったコンピュータが正常に動作しなくなった原因をご紹介するシリーズ,ラストの第3回目はHDDが壊れた場合です.
ほかの原因についてはこちらから御覧ください.
原因その3 HDDが故障した場合
原因その2の電源トラブルと違い,起動したように見えたり,電源が入ってロゴが表示されたりはするので,最初の精神的ダメージは小さいのですが,結局作業ができなかったり,最悪データが一部壊れてしまったりと,影響がとても大きいトラブルです.しかも結構高頻度で発生しています.
HDDは内部で円盤(プラッタ)が動いているので,利用しているだけで故障する可能性はあるのですが,実は原因その1の「実は動いている場合」から発生する合わせ技
- 実は動いていても動いていないと思ってしまう
- 強制終了
- ディスク破損
のようなケースがとても多いです.その故障発生の仕組み上,実際に作業しているデータや制御しているOSのプログラムに異常が発生するケースも多く,起動に失敗したり,一番必要なデータが破損してしまったりという最悪な状況になってしまったことも何度かあります.
ディスクが破損してしまうとデータが連鎖的に壊れてしまうこともあり,仮にツールなどで修復してまた利用できるようになったとしても,利用を継続するのは要注意です.
SOLUTION
OSの入ったディスクの場合,そのディスクでは起動しないようにします
- 障害のあったディスクを動かすと,更に障害が拡大する可能性があります
何らかの方法でディスクを他の端末などに認識させて,データを救出します
- Mactintoshの場合,ターゲットディスクモード(「T」キーを押しながら起動すると,外付けディスクのように利用できるMacintosh標準機能です)を利用するのがおすすめです
- Windowsマシンや他の端末が利用できない場合は,CD/DVDなどの他のディスクで起動し,そこから必要なデータを救出します
- サーバなどで利用されることも多いLinuxでは,Windowsマシンのそんなトラブルを想定してCDで起動できるものもあります
- 羊土社ではKnoppixというCD/DVD起動に特化したLinuxを用意し,必要な時に利用しています
- データの救出先は,外付けのHDDやUSBメモリ,LAN上にあるサーバなどを利用しています
- 上記ができない場合はディスクを本体から取り出し,他のデスクトップ型の端末やディスクケースなどにセットします
他の端末で認識できない場合は…
- ディスクのフォーマットが破損している場合など,他の端末でディスクが正常に認識されないことがあります
- その場合はディスクを直接読みに行くソフトを試します.羊土社ではアイギーク社のDataRescureというソフトを用意しています
- これまでに何度かこれで必要なデータが復元できたことがあります
- なお,空にしたゴミ箱のデータの復元もできますが,データは復元できてもファイル名はわからないなど,なかなか必要なデータを探すのは大変です
- それでもだめな場合は業者へのデータ復元依頼を検討します
- かなり高額ですし,復元できる保証もないので,必要なデータの重要性などから慎重に検討します
- 不幸中の幸い,これまで羊土社では利用したことはありませんが,万が一のときにはすぐに頼めるように,近所の業者をリストアップしています
ディスクを交換する
- 改めてコンピュータを利用できるようにするために,できればディスクを交換して,再セッティングするのがおすすめです
- やむを得ずそのまま利用する場合も,フォーマットをしなおして,OSの再インストールからやり直すほうが安心です
PREVENTION
原因その1の予防方法と同じ
- これまで羊土社で発生したディスク故障の大部分が強制終了に起因するものでした
- ディスク故障の予防には,動いている時に強制終了してしまうことを避けるようにするのが一番だと思います
ディスクを定期的に交換する
- HDDは内部で円盤(プラッタ)が物理的に動いていますので,使っていくうちに劣化していきます
- 一般的にはHDDの寿命は3年ほどと言われています.消耗品と割り切って定期的に交換すると,故障リスクを下げられると思います
RAIDを利用する
- 複数のHDDを組み合わせて1台のディスクとして用いる装置またはプログラムです.
- RAIDには様々な方式がありますが,その中でも冗長性を確保するものの場合は1台のディスクが故障してもデータは破損せず,その故障したディスクを交換すれば継続運用が可能です
- 実は先日も羊土社内で利用しているサーバのHDDの1つが故障しましたが,RAID装置の中の1台であったため,交換しただけで大丈夫でした
バックアップをしっかり取る
- 特に重要なデータは日常的にバックアップするのがおすすめです
- MacintoshではTime Machineとしてよく知られている,変更点を保存していく差分バックアップ機能ですが,Windowsでも7から差分バックアップが利用できるようになっています
- OSの標準バックアップ機能でも上手く活用することで効率よくバックアップが可能です
保管するデータは起動ディスクとは別に保管する
- 起動ディスクは一番動作が多いので,故障リスクが一番高いです
- 日常的には利用しない重要なデータは起動ディスク以外に保管するのがおすすめです
ぜひ皆様もコンピュータの「動かない」トラブルに合わないように注意してご利用ください.上記予防方法も参考して頂けましたら幸いです.
なお,最近SSD(solid state drive)はよく利用されるようになってきていますが,羊土社ではまだ故障の経験がありません.
インターネットで情報を調べてみると,いきなり認識しなくなったりするなど,これまで以上に故障のリスクが大きそうです.今のうちから対策などしっかり考えていこうと思います…
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