劇的に診断力が上がる!
診断推論×ロジックツリー
第2回
「3STEPの問診」で診察しながら
ロジックツリーを作成できる!
2022年7月22日 公開
はじめに
前回はロジックツリーの作成方法について学びました.ロジックツリーは診断の思考過程を構造化して視覚化することで,鑑別診断の全体像を俯瞰して眺めながら各々を比較検討ができるうえ,系統的に考えられたカテゴリーから新たな鑑別診断を生み出しやすいというメリットがあります.また最終診断に至るまでの思考過程を互いに共有したりフィードバックすることで,初学者は上級医の思考過程を盗みやすくなり,上級医は初学者に明確な診断プロセスを論理的に説明しやすくなることも大きな強みです.しかし実際の外来で活用するためには,診察の段階でロジックツリーを意識する必要があります.今回は診察しながらロジックツリーを作るためのコツ,「3STEPの問診」について学んできましょう.
日常診療でロジックツリーを活用するためには?
研修医:あ,専攻医先生!こんにちは!
専攻医:あら,研修医君.最近は絶好調みたいじゃない.先週,失神で来院した肺塞栓症の患者さんをあなたが見逃さずに診断したことが話題になっていたわよ.ちょっと前のあなたなら「絶対,迷走神経反射できまりです!」とか言ってたのに何かあったの?
研修医:いやあ,もちろん僕の眠っていた才能が開花したこともあるんですけど,実はこの前,指導医先生に“ロジックツリー”を教えてもらってから複数の鑑別診断の可能性を俯瞰的に考えることができるようになったんですよね.
専攻医:へえ,そうだったのね.私も研修医のときに指導医先生にロジックツリーを教えてもらってからよく書いているわよ.でも,診察が終わってからロジックツリーを書くのって結構時間がとられるから,忙しい外来だとどうしても書くのが面倒になっちゃうのよね.それにロジックツリーを書いた後で問診が不十分だったことに気付いたりして,うまく実際の診察とリンクできないのよね.診察しながら同時にロジックツリーを作ることができれば一番効率がいいんだけど….そのあたり指導医先生はどうしているのかしらね.
研修医:たしかに.指導医先生ならさっき医局で暇そうにカップラーメンを食べていたので聞きにいってみましょう!
専攻医:ええ.(あいかわらずナチュラルに失礼な発言が多いわね….)
<医局にて>
指導医:なるほど.君たちは診察とロジックツリー作成を別のフェーズのものとして考えているんだね.実際はロジックツリー作成は診察と同時に⾏うことが可能なんだ.
専攻医:ええ?そうなんですか!?どうやってやるんですか.