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腸内環境を保全するうえでの数理科学の役割

A mathematical science perspective toward maintenance of intestinal environment
中岡慎治,熊倉大騎
Shinji Nakaoka/Daiki Kumakura:Faculty of Advanced Life Science, Hokkaido University(北海道大学大学院先端生命科学研究院)
10.18958/6685-00001-0001000-00

腸炎や生活習慣病に属する疾患の多くは,腸内細菌叢と腸管上皮細胞や免疫細胞をはじめとする宿主との相互作用の異常が関与する.腸内細菌にとって宿主の腸は生息域であるため,宿主恒常性の破綻は,比喩的に腸内の環境問題と捉えることができる.本稿では,要素と関係からなるシステムの研究体系でもある生態学の考え方と数理解析手法に着目し,腸内微生物生態系の理解,データ分析,もしくは人為的介入も含めた腸内環境の維持・改善を目的とした腸内環境保全に関して,数理科学が果たしうる役割について論じる.

レジームシフト,early warning signal,dynamical network marker,擬似時間再構成法

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