スマホで読める実験医学
550円

微生物叢の状態変化を捉えるための安定性ランドスケープ:ロトカ-ボルテラ方程式からの導入

A stability landscape concept to understand the compositional stability of microbiota: an introduction from a Lotka-Volterra dynamics
鈴木健大,桝屋啓志
Kenta Suzuki /Hiroshi Masuya:Integrated Bioresource Information Division, BioResource Research Center, RIKEN(理化学研究所バイオリソース研究センター統合情報開発室)
10.18958/6685-00001-0000998-00

腸内微生物叢の構成要素は単純な寄せ集めではなく,微生物同士や微生物-宿主間の相互作用によって決まると考えられる.こうした相互作用は,微生物叢を安定した状態に導くが,その行先は必ずしも一つではない.これは多重安定性とよばれる現象である.微生物叢の多重安定性は,宿主から見た微生物叢機能の違いの原因となり,極端な場合は宿主の健康に大きな影響を及ぼす.本稿では,このような現象が生じるしくみを,微生物叢の動態を記述するために広く用いられている一般化ロトカ-ボルテラ方程式によって確認し,それを俯瞰的に捉えるために安定性ランドスケープという概念を導入する.さらに,安定性ランドスケープをデータ駆動的に研究するための新しいアプローチとして,エネルギーランドスケープ解析を紹介する.

多重安定性,微生物叢制御,変動予測,エネルギーランドスケープ解析,ペアワイズ最大エントロピーモデル

この記事は有料記事です

(残り約9,500文字)

  • 【スマホで読める実験医学】微生物叢の状態変化を捉えるための安定性ランドスケープ:ロトカ-ボルテラ方程式からの導入
    550円