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腸内細菌とがん免疫応答:がん免疫療法の有効性を高める一つの鍵

馬場勇太,吉村 清
Yuta Baba1)2)/Kiyoshi Yoshimura1)3):Department of Clinical Immuno-Oncology, Clinical Research Institute of Clinical Pharmacology and Therapeutics, Showa University1)/Division of Hematology, Department of Medicine, Showa University Fujigaoka Hospital2)/Division of Medical Oncology, Department of Medicine, Showa University School of Medicine3)(昭和大学臨床薬理研究所臨床免疫腫瘍学部門1)/昭和大学藤が丘病院血液内科2)/昭和大学医学部内科学講座腫瘍内科学部門3)
10.18958/7405-00002-0001135-00

腸内細菌は宿主の生理機能に多彩な影響を及ぼし,腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)は種々の疾患に関与することが明らかになった.腸内細菌はがんの発症と進行に関与するだけでなく,免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果にも関連し,その有効性を予測するバイオマーカーとなりうる.腸内細菌が免疫機能を制御する機序として腸内細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸が注目されており,短鎖脂肪酸によるがん免疫応答の機序が解明されつつある.さらに,腸内細菌のがん免疫療法への応用として整腸剤や便移植は抗腫瘍効果を増強することが示唆されており,新たな治療戦略となりうる.

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