スマホで読める実験医学
550円

難治がんに対する養子免疫療法

Adoptive cancer immunotherapy for refractory cancer
籠谷勇紀
Yuki Kagoya:Division of Immune Response, Aichi Cancer Center Research Institute1)/Division of Cellular Oncology, Department of Cancer Diagnostics and Therapeutics, Nagoya University Graduate School of Medicine2)(愛知県がんセンター研究所腫瘍免疫応答研究分野1)/名古屋大学大学院医学系研究科がん先端診断・治療開発学講座細胞腫瘍学分野2)
10.18958/7133-00001-0000234-00

さまざまな治療モダリティの開発が進んでいるがん免疫療法のなかでも,がん抗原を認識できるT細胞を体外で準備して輸注する養子免疫療法は,細胞そのものを薬として使う点において,内在性の免疫細胞を利用する免疫チェックポイント阻害薬と異なるユニークな手法である.すでに実臨床に導入されているキメラ抗原受容体(CAR)導入T細胞やT細胞受容体(TCR)導入T細胞などの遺伝子改変T細胞に加えて,腫瘍浸潤T細胞(TIL)が用いられるが,いずれにおいても標的抗原の設定に加えて,輸注されるT細胞の「質」が治療効果に直結する.本稿ではT細胞の機能低下につながる分子メカニズムに触れながら,それらを予防するためのT細胞改変の例について紹介する.

CAR-T細胞,腫瘍浸潤T細胞,終末エフェクター分化,T細胞疲弊,エピジェネティクス

この記事は有料記事です

(残り約8,400文字)

  • 【スマホで読める実験医学】難治がんに対する養子免疫療法
    550円