スマホで読める実験医学
550円

がん間質の線維芽細胞・腫瘍血管と免疫チェックポイント阻害薬の耐性機構

Roles of cancer-associated fibroblasts and tumor vessels in ICI resistance
榎本 篤,宮井雄基,飯田 忠,大脇貴之
Enomoto Atsushi/Yuki Miyai/Tadashi Iida/Takayuki Owaki:Department of Pathology, Nagoya University Graduate School of Medicine(名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学)
10.18958/7133-00001-0000232-00

ヒトのがんの間質の免疫細胞の浸潤,線維化,および腫瘍血管の増生の程度はがんの種類あるいは症例間で実に多様である.同一症例の標本でも視野を少し動かしただけで,同じがんとは思えないような組織像の違いを見せることもある.免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の勃興によりがん治療の概念が変わり,それに伴いヒト免疫学も飛躍的に発展したと聞く.しかしながら,一部の特殊なゲノム異常を有するがんを除き,前述の腫瘍内(intratumor)および腫瘍間(intertumor)の多様性がICIの奏功予測や一律な奏効率の押し上げを困難なものにしていると推測される.本稿では,主に線維芽細胞と腫瘍血管に焦点をあて,これらが抗腫瘍免疫応答およびICIの効果に及ぼす影響,およびその知見に基づく治療戦略について概説したい.

がん関連線維芽細胞,腫瘍血管,腫瘍内多様性,免疫チェックポイント阻害薬

この記事は有料記事です

(残り約10,300文字)

  • 【スマホで読める実験医学】がん間質の線維芽細胞・腫瘍血管と免疫チェックポイント阻害薬の耐性機構
    550円