スマホで読める実験医学
550円

かゆみにおけるグリア細胞の働き

Role of glial cells in itch
津田 誠
Makoto Tsuda:Department of Molecular and System Pharmacology, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University(九州大学大学院薬学研究院薬理学分野)
10.18958/6739-00001-0000674-00

皮膚など末梢組織で発生したかゆみ信号は神経を介して脊髄と脳へ伝達され,私たちはかゆいと感じる.一方で,神経系には非常に多くのグリア細胞が存在し,その活動が神経機能に大きな影響を及ぼすことが示されている.かゆみにおけるグリア細胞の関与は特にアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患でみられる.例えば皮膚炎モデル動物の脊髄後角では,グリア細胞が活性化し,かゆみ信号を伝達するシナプス応答が増強する.またグリア細胞を抑制することで,引っ掻き行動が減少する.したがって,グリア細胞は慢性掻痒(そうよう)にきわめて重要な役割を担っており,かゆみの伝達・処理メカニズムの理解,そして治療薬開発において欠かせない存在となっている.

アストロサイト,脊髄後角,慢性掻痒,アトピー性皮膚炎

この記事は有料記事です

(残り約7,900文字)

  • 【スマホで読める実験医学】かゆみにおけるグリア細胞の働き
    550円