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口腔細菌叢と炎症性腸疾患

The oral microbiota and inflammatory bowel disease
鎌田信彦
Nobuhiko Kamada:Division of Gastroenterology, Department of Internal Medicine, University of Michigan Medical School(ミシガン大学医学部消化器内科)
10.18958/6885-00001-0000811-00

近年の研究により,炎症性腸疾患患者では口腔細菌の腸管内への異所定着が起こっていることが明らかとなった.口腔細菌は,腸管で炎症性免疫を強く活性化し,腸炎の発症・増悪化に寄与している.口腔細菌の異所定着の引き金としては,腸内細菌叢の乱れなどに起因する外来微生物定着抵抗性の低下や,歯周炎などによる口腔内での病原性偏利共生菌の増加が挙げられる.このように,口腔-腸管の粘膜間ネットワークは炎症性腸疾患の病態に深く関与しており,口腔を標的とした治療が炎症性腸疾患のリスク低減につながることが期待される.

口腔細菌叢,腸内細菌叢,歯周炎,炎症性腸疾患,病原性偏利共生菌

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