“わかりやすさ”をとことん追求!免疫学を難しくしている複雑な分子メカニズムに迷い込む前に,押さえておきたい基本を丁寧に解説.最新レビューもみるみる理解できる強力な基礎固めがこの一冊でできます!
目次
基本編
1 章 免疫学のおもしろさ
1 . 免疫学の本質とは ─ 獲得免疫系のもつ複雑な仕組み
2 . 学問としての位置づけ ─ 免疫学は生命科学をリードしてきた
3 . 医学としての免疫学 ─ 原因不明の病気の多くは免疫系が関与している
4 . 日本の免疫学 ─ 他の分野と比べて,日本の競争力が強い
5 . 免疫学の未来 ─ 免疫学はまだまだ発展し続ける
2 章 獲得免疫とは?
1 . 免疫反応の基本型 ─ 免疫学は抗原特異性を扱う学問である
2 . 脊椎動物の持つ獲得免疫システム(1) ─ ひとつの細胞に1種類の分子という大原則
3 . 脊椎動物の持つ獲得免疫系(2) ─ 自己寛容と免疫記憶
4 . 食細胞,T 細胞,B 細胞の分業 ─ 病原体を食べる,感染細胞を殺す,抗体をつくる
3 章 抗原情報の伝わり方
1 . 抗原レセプターは何をみているか ─ こんなすごい分子は他にない
2 . 獲得免疫系による免疫応答の概要 ─ 樹状細胞とヘルパーT 細胞が登場!
3 . MHC クラスⅠとクラスⅡ ─ 抗原提示法には2通りある
4 . クラスⅡ分子を用いた抗原特異的な免疫反応 ─ ヘルパーT 細胞はクラスⅡ分子上のペプチド抗原をみる
5 . MHCaaaaa クラスⅠ分子を介した抗原特異的な細胞傷害 ─ キラーT 細胞は感染細胞を殺傷する
4 章 多様性の創成と自己反応細胞の除去
1 . T 細胞がつくられるところ ─ 胸腺はT 細胞をつくるための臓器
2 . 多様性の創出 ─ 遺伝子再構成という驚くべき仕組み
3 . T 細胞の正の選択と負の選択 ─ 役立つ細胞を選び,危険な細胞を取り除く
4 . B 細胞の分化と選択 ─ B 細胞の負の選択と受容体再編成
5 章 自己反応性を抑制するさまざまな調節系
1 . 自己反応性細胞の除去には漏れが多い ─ 負の選択は完全ではない
2 . T 細胞が活性化されるとき ─ 感染時だけ反応する仕組み
3 . T 細胞アナジーの成立 ─ 定常状態で自己反応性細胞を排除する
4 . 抑制性細胞による抑制 ─ 制御性T 細胞による自己反応性細胞の抑制のメカニズム
5 . 活性化したT 細胞を死なせるシステム ─ 免疫反応の終息点の制御
展開編
1 章 血液細胞の発生と分化
1 . 造血細胞はどこから来るのか ─ 造血細胞は流浪の民
2 . 造血幹細胞 ─ 全ての免疫細胞のみなもと
3 . 造血幹細胞のニッチ ─ 隠れ家でほっこり
4 . 系列決定の進行過程 ─ 細胞分化の最もドラマチックな出来事
5 . 新しい造血モデル ─ ようやく骨組みがみえてきた
2 章 免疫組織の発生とT 細胞B 細胞の分化
1 . 胸腺の発生 ─ 極性を失った上皮細胞の塊
2 . 胸腺に移住する前駆細胞 ─ 胎生期の移住細胞は解明された
3 . 胸腺環境と骨髄環境の決定的な違い ─ 実はNotch だった
4 . 胸腺内初期T 細胞分化(1) ─ 胸腺でT 細胞系列への完全な決定が起こる
5 . 胸腺内初期T 細胞分化(2) ─ TCRβ 鎖再構成のチェックポイント
6 . 正の選択の基本原理は? ─ いまとてもhot な話題
7 . 組織固有の抗原に対して胸腺で起こる負の選択 ─ 胸腺髄質に末梢組織が映し出されている
8 . ヘルパーになるかキラーになるかの運命を選ぶとき ─ 動的シグナルモデルとは?
9 . 胸腺でつくられる他のT 細胞 ─ T 細胞はヘルパーとキラーだけじゃない
10. B 細胞のつくられ方 ─ 抗原レセプターのつくられ方はT 細胞と似ている
3 章 さまざまな免疫応答の機序 ─ 抗原特異的反応を修飾するさまざまな要素
1 . リンパ節/ 脾臓の構造と機能 ─ 免疫細胞の出会いの場
2 . 免疫細胞の移動 ─ リンパ球による巡回パトロール
3 . リンパ節で起こること ─ 免疫細胞の出会いの場
4 . 親和性成熟 ─ リンパ節/ 脾臓で起こる抗体の「進化」
5 . いろいろな抗体分子 ─ 体中でうまく使うための工夫
6 . クラススイッチ ─ 抗体分子の抗原結合部位の使い回し
7 . 免疫記憶 ─ 二度目は速やかに
8 . MHC の多型性 ─ 病原体とのせめぎあい
9 . 粘膜免疫 ─ 他の組織とひと味ちがう
10. ヘルパーT 細胞のサブセット ─ Th1,Th2,Th17 ……どこまで増える?
11. サイトカイン ─ 至近距離で働くホルモンのようなもの
4 章 自然免疫系の生体防御機構 ─ あらっぽいけど,すばやい反応
1 . 自然免疫系の基本型 ─ 獲得免疫系との関わりを抜きにしてみてみよう
2 . 自然免疫系と獲得免疫系の関わり方 ─ もちつもたれつ
3 . 病原体センサー ─ 獲得免疫系の始動役
4 . 補体はすごい ─ 強力な防衛線
5 . NK 細胞は自己と非自己を見分ける ─ キラーT 細胞とは別の殺しのプロ集団
6 . 自然免疫から獲得免疫への橋渡しをする種々の細胞 ─ 役者は増えて来た
7 . 自然免疫と獲得免疫との中間的な細胞 ─ どっちやねん!
5 章 いろいろな生物の免疫 ─ 免疫系の進化を考える
1 . 無脊椎動物の免疫 ─ 獲得免疫がなくてもどうということはない
2 . ヤツメウナギの獲得免疫系の驚異 ─ 独自の獲得免疫系
3 . 獲得免疫の出現のシナリオ ─ サメでも哺乳類とほぼ同じ
4 . B 細胞のつくられ方は動物種によってこんなに違う ─ T 細胞はほとんど同じなのに
応用編
1 章 自己免疫疾患アレルギー ─ 免疫反応が体に害を及ぼすとき
1 . アレルギーのメカニズム ─ 抗体をまとった細胞達が大暴れ
2 . 自己免疫疾患とは ─ 免疫が自分を標的にする
3 . 自己寛容が破綻する仕組み ─ 一定の割合で起こりうるシステム上のエラー
2 章 医療と免疫学 ─ 免疫学をどのように医療に活かすか
1 . 移植免疫のツボ ─ 免疫の仕組みについて教えてくれる
2 . 腫瘍免疫の問題点 ─ 免疫監視機構は本当にあるか
3 . 再生医療と免疫 ─ iPS 細胞の光と影
Column
- 免疫学の将来像
- 細胞ではなく分子の話から入った理由
- 自己反応細胞の除去」と「免疫記憶」は獲得免疫系の必要条件か
- なんで「クローン」選択説なのか
- マクロファージやB 細胞は免疫反応を始動できるか
- 胸腺こぼれ話
- 胸腺でT 細胞は「教育」を受けるのか
- 自然免疫によるセンサーが獲得免疫系を始動させる:獲得免疫系の泣き所?
- サプレッサーT 細胞と制御性T 細胞
- 一次造血と胎仔肝造血
- 造血幹細胞の中の性質の不均一性:本当に自己複製しているか
- 造血幹細胞をin vitro で増やす技術は未確立
- 皮質細胞と髄質細胞は共通の前駆細胞から生成する?
- 成体胸腺へ移住するT 前駆細胞
- Notch シグナルだけが胸腺と骨髄の違いか?
- 分化のチェックポイントとは?
- 対立遺伝子排除とは
- ヘルパーT 細胞についても正の選択モデルは未解決
- AIRE は何をしているのか?
- 指令モデルと確率モデル
- 胸腺外分化T 細胞はあるか?
- ホーミングという言葉
- 二次リンパ器官はB 細胞のためにある?
- T 細胞の場合,「記憶細胞」であることを証明するのは難しい
- 多重性が好ましいなら,なぜもっと遺伝子数を増やさないのか
- Th1 とTh2 のバランス
- 炎症とは
- サイトカインストームとは
- 自然免疫系は脊椎動物では退化しているか?
- TLR はヒトでは不要になりつつある?
- T 細胞は自己/ 非自己を見分けているか
- この項目で紹介した細胞は獲得免疫系か自然免疫系か考えてみよう
- なんで自然免疫だけで生きて行けるの?
- 獲得免疫系であるための要件
- T 細胞とB 細胞の起源に関する考察
- FcR を使って抗体を利用する細胞達
- 衛生仮説の虚々実々
- マウスの実験で得られた成果が臨床につながりにくい理由
- 恥ずかしながら、50才を前にしての”学び直し”にとても役立ちました。最新のテーマにも触れられており、初学者にも強く勧められます。(国立大医学部)
- 挿絵のマンガがとても興味をひくのではないかと思います。解説もわかりやすいです。(私大薬学部)
- よくまとまっており入門者へちょうど良いと思われる。(公立大医学部)
- 全容がよくわかるし、わかり易いです。(国立大学工学部)
- 説明の仕方が上手なので、すんなり理解できました。購入して良かったと思える一冊です。(大学研究職員)
- 非常に興味を持って購入しました。専門が少し異なるので、新しい知見も入っており勉強になりました。(大学研究職員)
- 今まで理解していなかった内容だったので、購入してみましたが、予想以上に面白く分かりやすいので、買って非常に満足しております。(企業研究職)
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(2021年8月23日)
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