編集/鳥越俊彦(札幌医科大学医学部病理学第一講座)
2013 年に提唱された「cancer immunity cycle(がん免疫サイクル)」は,がんに対するダイナミックで複雑な免疫応答を7つのステップに単純化して捉えたもので,がん免疫応答の理解と新たな療法の開発において重要なコンセプトとされている.最近,このがん免疫サイクルがアップデートされ,腫瘍局所の免疫応答の重要性が強調されたものへと更新された.本特集では,アップデートの背景にある知見の解説と,新たに重要視されるようになってきたTLS(三次リンパ様構造)や,そこでのCD4+T細胞,B細胞の免疫応答など,腫瘍局所の免疫応答を紐解く最前線の研究者に最新の成果を紹介いただくとともに,がん免疫の新たな治療標的としての可能性についても解説いただく.
編集/笹川洋平(東京科学大学難治疾患研究所ゲノム機能情報分野)
1細胞RNA-seqは,近年爆発的に利用例が増えたものの「誰もが気軽に」行える解析には至っていない.解析の手軽さや要する時間,そしてコストなど解決すべき技術課題が残されている.そのようななかで最近では「高速」あるいは「簡便」,「高価な装置を必要としない」いずれかを特徴とした手法が登場してきている.本特集では,このような誰もが気軽に利用できる1細胞RNA-seq技術の確立に向けた研究を紹介する.各論では本分野の先端を走る2つのチームに,その最新の技術と将来性,そして課題に関する執筆をいただく.多様化する1細胞RNA-seqの解析手法のアップデートに活用いただけると幸いである.
※ タイトルはすべて仮題です.内容,執筆者は変更になることがございます.