実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ

もっとよくわかる!食と栄養のサイエンス

食行動を司る生体恒常性維持システム

  • 佐々木 努/編
  • 2021年02月10日発行
  • B5判
  • 215ページ
  • ISBN 978-4-7581-2209-2
  • 4,950(本体4,500円+税)
  • 在庫:あり
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生命活動の根源である「食」と,健康維持のための物質補給である「栄養」は,生体(食べる側)と食物(食べられる側)の相互作用(生体-食物連環)により成り立っている.健康維持に重要な役割を果たす食行動は,複合的要因により調節されるため,未解明な点が多い.他方,誰にとっても身近なテーマであるがゆえに,巷に飛び交う情報は玉石混交となっている.これらの問題を解決するには,食と栄養のサイエンスを推進して真実を明らかにする必要がある.そこで本章では,食と栄養のサイエンスを推進する意義,その特徴,および解消すべきハードルについて解説する.…

佐々木 努(京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻栄養化学分野)

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ヒトはなぜ食べるのか?鍵は食行動の分子・神経基盤にあり!健康を維持するため,食物の情報を捉え処理するメカニズムを詳説.生活習慣病や摂食障害の改善をめざす医学,健康科学,栄養学,食品科学の研究者,必読!

目次

はじめに 〜本書の意図について〜【佐々木 努】

第1部 イントロダクション

第1章 食と栄養のサイエンスとは 〜意義,特徴,およびハードル【佐々木 努】

1 「食べる」とは,どういうことか
2 食と栄養のサイエンスの意義
3 理解すべき食行動の特徴
4 食と栄養のサイエンスに対するハードル
5 食と栄養のサイエンスを新たに確立するための方策
6 食と栄養のサイエンスへようこそ

第2章 全体像を理解するための基礎知識【佐々木 努】

1 動機づけの原理
2 栄養学の基本概念
3 内分泌代謝学の基本概念
4 神経科学の基本概念
5 IDA サイクルによる情報の流れの理解
6 全体像の理解の大切さ

第3章 食にかかわる感覚の種差【糸井川壮大,今井啓雄】

1 ヒトを含む霊長類と齧歯類の味覚の差
2 ヒトを含む霊長類と齧歯類の嗅覚の差
3 モデル動物研究からヒトへの応用に向けた今後の展望

第2部 末梢から中枢への情報伝達

第4章 食と味覚 〜食行動における役割【中島健一朗】

1 味覚のもつ2つの側面:認識と嗜好
2 末梢(舌)における味覚の認識
3 味細胞での味覚の認識
4 脳内での味覚の認識・嗜好メカニズム
5 今後の課題

第5章 食と嗅覚 〜食べ物の匂いの検知から食行動まで【山口正洋】

1 匂いと食の関係:オルソネーザル匂い知覚とレトロネーザル匂い知覚
2 匂いの検知と情報処理の神経機構
3 嗅覚と食行動の関係
4 栄養・代謝状態によって調節される嗅覚機能
5 レトロネーザル匂い知覚と食べ物の味わいについて
6 今後の展望

第6章 食における五感の相互作用 〜視覚を中心に【和田有史】

1 視覚による食の認知
2 五感の相互作用と食品の味わい

第7章 内臓感覚神経による摂食調節 〜求心性迷走神経を中心に【岩﨑有作】

1 早期膨満感と内臓感覚神経
2 内臓感覚神経の解剖学的理解と機能
3 食物/栄養情報を感受して求心性迷走神経へ伝達する腸管内分泌細胞とneuropod
4 求心性迷走神経がセンスする末梢因子と摂食調節機能との連関
5 求心性迷走神経から発せられる摂食行動調節における中枢機序
6 今後の展望

第8章 栄養・代謝シグナルと血液脳関門【佐々木 努】

1 栄養素による摂取調節
2 ホルモンによる摂取調節
3 腸内細菌の代謝産物による摂取調節
4 血液脳関門と血液髄液関門の役割
5 液性経路の重要性

第3部 脳内での情報処理と行動の測定法

第9章 恒常的摂食調節の脳内回路【佐々木 努】

1 一次中枢:視床下部弓状核での感知
2 二次中枢①:視床下部弓状核からの投射先
3 二次中枢②:結合腕傍核への投射
4 二次中枢より先の投射先
5 一次中枢に対する神経性入力
6 栄養素に対する食欲の調節メカニズム
7 その他の摂食調節因子
8 これまでのまとめと今後の課題

第10章 食のもたらす快情動の神経メカニズム 〜報酬系の脳内回路【小澤貴明,疋田貴俊】

1 報酬系を司る神経伝達物質
2 報酬・価値判断の脳内回路
3 今後の展望

第11章 経験学習と予測による食行動の調節

1 食行動における味覚や嗅覚に関連する学習とそのしくみ【八十島安伸】
2 予測と生体リズムによる食行動の調節【佐々木 努】

第12章 食行動の測定法

1 ヒトでの食行動の評価法と課題①:個体ごとの認知・食行動の計測【和田有史】
2 ヒトでの食行動の評価法と課題②:集団としての評価法(疫学的手法)【朝倉敬子】
3 齧歯類における食行動の評価法【佐々木 努】

第4部 食と栄養のサイエンスの社会的適用と今後の展望

第13章 肥満と食行動【佐々木 努】

1 肥満の社会的インパクト
2 肥満の成因
3 肥満による食行動の変容メカニズム
4 肥満における食行動への介入の難しさ
5 開発・検証中の薬剤
6 今後の課題

第14章 摂食障害と食行動【佐々木 努】

1 摂食障害の定義と社会的インパクト
2 摂食障害のメカニズム研究のハードル
3 摂食障害の病態メカニズム仮説
4 介入法
5 今後の課題

第15章 ストレスによる食行動の変容メカニズム【岡本士毅,箕越靖彦,益崎裕章】

1 ストレスと食行動の関係
2 急性ストレスと慢性ストレスによる食行動への影響
3 ストレス性過食
4 今後の展望

第16章 食によるヘルスケアを実現するには【佐々木 努】

1 食品と医薬品を分ける食薬区分
2 機能をもつ食品,保健機能食品
3 食品と医薬品の承認制度の違い
4 食品と医薬品の市場性の違い
5 生活習慣病の克服に必要な制度
6 今後の課題

おわりに【佐々木 努】

索引

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  • 【本書名】実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ:もっとよくわかる!食と栄養のサイエンス〜食行動を司る生体恒常性維持システム
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