著しい発展を遂げる免疫学.現在の流れを把握するために 歴史を知ることは大切です! 本書はジェンナーに始まる免疫学の歴史を,ブレークスルーを支えた実験法を交え紐解きます.続いて自然免疫やT/B細胞の機能などの重要項目を詳しく学び,注目のトピックスで最先端をカバー!
目次
歴史編
研究と実験の歴史 ドラマチックな免疫学−発見ドラマを語ろう【小安重夫】
1.免疫学事始め
2.自然免疫研究の歴史
- 貧食細胞と補体の発見
- Toll様レセプター研究の始まり
- サイトカインの発見
3.抗体の特異性と多様性の謎解きの歴史
- タンパク質化学による解明と実験法開発の時代
- 多様性の形成に関する考察
- 分子生物学の発展と分子レベルでの解明の時代
4.移植とT細胞の発見
- 拒絶反応の鍵を握るMHCの発見
- 自己寛容と拒絶反応を担うT細胞の発見
- 移植の歴史
- T細胞の異物認識に必要なMHC拘束性の研究
- T細胞レセプターの発見
- 樹状細胞とT細胞の活性化
実験の歴史
- cDNAクローニングとコロニーハイブリダイゼーション
- プラークアッセイ法
- 単クローン抗体技術
- 骨髄キメラの作製
- フローサイトメーター
レビュー編
第1章 微生物感染と感染初期に機能する自然免疫【矢島俊樹,吉開泰信】
1.自然免疫系の機能
2.自然免疫におけるToll様レセプター(TLR)による微生物の認識
- TLRによる微生物構成成分の認識
- TLRのシグナル伝達経路
3.今後の研究の展望
第2章 T細胞の分化【鈴木春巳】
1.T細胞分化の概略
- 胸腺へのエントリー
- 最初のチェックポイント:β選択(プレTCR選択)
- 第2のチェックポイント:レパトア選択(正の選択,負の選択)
2.T細胞の分化,選択にかかわる分子
3.正,負の選択の分子機構
4.CD4およびCD8シングルポジティブへの運命決定
5.現在の注目ポイントと今後の展開
第3章 B細胞の分化【烏山 一】
1.B細胞分化の流れ
2.造血幹細胞からB細胞へのコミットメント(系列決定)
3.プレB細胞レセプターによるB細胞初期分化制御
- プロB細胞からプレB細胞への分化誘導
- H鎖遺伝子の機能的再構成に成功してμH鎖を産生した細胞の選択的増殖誘導
- μH鎖の品質管理
- Ig遺伝子再構成の制御
4.レセプター・エディティングによる免疫学的寛容の確立
第4章 B細胞活性化と抗体産生・クラススイッチ【鍔田武志】
1.抗原によるB細胞の活性化
2.B細胞の増殖・分化の場
3.Igのクラススイッチ
4.胚中心反応と免疫記憶
第5章 MHCによる抗原提示【塚本博丈,西村泰治】
1.MHC分子によるT細胞への抗原提示
2.MHCと結合ペプチドの構造
3.T細胞抗原レセプターによるMHC/ペプチド複合体の認識機構
4.非古典的MHC-I分子
第6章 樹状細胞の役割【稲葉カヨ,稲葉宗夫】
1.樹状細胞による抗原提示
- クロスプレゼンテーション
- MHCクラスII分子を介する抗原提示
- 免疫シナプスとラフト
2.樹状細胞によるT細胞活性化の調節
- Th1/Th2の偏向
- T細胞応答の増強と抑制に関与する分子
3.末梢免疫寛容の誘導と維持における樹状細胞の役割
- T細胞への直接的な作用
- 調節性T細胞による免疫寛容の維持と樹状細胞の作用
第7章 抗原レセプターを介したシグナル伝達【石合正道,黒崎知博】
1.抗原抗体認識レセプターの構造
2.チロシンキナーゼ群の活性化機構
3.チロシンキナーゼの下流シグナル
4.共刺激分子,補助レセプターによるシグナルの調節
第8章 Th1/Th2細胞の発見,そして制御機構の解明へ【久保允人】
1.Th1/Th2細胞研究の始まりから疾患との関連性
2.Th1分化を決めるシグナル伝達系
- T-betによるTh1分化
- IL-12ファミリーとIFN-γによるTh1分化
3.Th2分化を決めるシグナル伝達系
- IL-4プロモーターの制御とTh2分化
- IL-4シグナル伝達系によるTh2分化制御
- GATA-3によるTh2分化制御とGATA-3を制御する分子
4.免疫シナプスとT細胞レセプター活性化シグナルのTh1・Th2分化への関与
5.樹状細胞とNotchシグナルのTh1・Th2分化への関与
UP TO DATE
最新トピックス
1. Toll様レセプターとウイルスの新たな関係【矢島俊樹,吉開泰信】
2. 細胞内でも見逃さない:NOD1, 2による細菌の認識【矢島俊樹,吉開泰信】
3. 強いシグナルでも死ぬとは限らない【鈴木春巳】
4.隙間を埋めるのは自己反応性クローンーキレイすぎる環境が自己免疫疾患を誘発する?【鈴木春巳】
5.T細胞分化:思っていたほど複雑でもない?【鈴木春巳】
6.ヤツメウナギにもあった遺伝子再構成機構【烏山 一】
7.preBCRシグナル異常による小児急性リンパ性白血病の発症【烏山 一】
8.AID(活性化誘導性シチジンデアミナーゼ)−免疫グロブリンクラススイッチとV領域体細胞突然変異の鍵を握る分子【鍔田武志】
9.記憶B細胞の活性化しやすさを規定する分子機構【鍔田武志】
10.細菌の多糖類も提示できるMHC-II【塚本博丈,西村泰治】
11.抗原提示の効率をあげる細胞膜ラフト【塚本博丈,西村泰治】
12. 低親和性ペプチド/MHC複合体の働きは?【塚本博丈,西村泰治】
13.貪食とクロスプレゼンテーションに小胞体膜が関与する【稲葉カヨ,稲葉宗夫】
14. 免疫シナプスの形成に関与する分子ーDOCK2とテトラスパニン【稲葉カヨ,稲葉宗夫】
15.CIITAによる新たなT細胞制御機構−plexin-A1を介して【稲葉カヨ,稲葉宗夫】
16.トリプトファン分解酵素IDOによる免疫寛容誘導機構【稲葉カヨ,稲葉宗夫】
17. エフェクターを細胞膜ラフトへ運ぶ分子とつなぎとめる分子【石合正道】
18.T細胞特異的なアダプター分子がプレB細胞でも活躍【石合正道】
19.ゲノムの凝縮が規定するTh2分化【久保允人】
20.新しいTh2サイトカイン制御エレメントの発見【久保允人】
● その他注目のトピックス【久保允人】
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- 【本書名】バイオ研究マスターシリーズ:免疫学 集中マスター
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(2021年8月23日)
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