【速報】平成28年度の科研費公募要領:主な変更点は5つ(2015.09.04 掲載)

「速報」では常に変更している科研費の制度に関して,本書の内容から更新された情報を児島先生に随時紹介していただきます.

【速報】平成28年度の科研費公募要領:主な変更点は5つ(2015.09.04 掲載)

例年のように9月1日から平成28年度の科研費(科学研究費助成事業)応募がはじまった.今年度は制度上で大きな変更はないが,主な変更点は次の5つである.

1.基盤研究(B)と基盤研究(C)の審査区分「特設分野研究」に新たに3分野が設けられた

「特設分野研究」は「最新の学術動向等を踏まえて,新しい学術の芽を出そうとする試み」のために,「現行の細目では審査が困難と思われる研究課題で,特設分野に関連する幅広い視点から審査される」ものである.平成26年度に設定された「ネオ・ジェロントロジー」「連携探索型数理科学」「食料循環研究」,平成27年度に設定された「紛争研究」「遷移状態制御」「構成的システム生物学」に加え,平成28年度には「グローバル・スタディーズ」「人工物システムの強化」「複雑系疾病論」の3分野が新たに設定された.分野の設定は5年間で,募集は分野設定年度から3年間に限られる.採択予定課題数は分野ごとに30件程度である.

「特設分野研究」は基盤研究(S, A, B, C),若手研究(A, B),挑戦的萌芽研究と重複して応募できるので,この「特設分野研究」に関連した研究を行っている方は,ぜひトライして欲しい.

2.「系・分野・分科・細目表」付表キーワード一覧が一部変更された

細目「社会システム工学・安全システム」と細目「言語学」のキーワードの一部が見直された.

3.基盤研究(A, B)審査区分「海外学術調査」の審査希望分野が一部変更された

理工系に「環境学A」,生物系に「環境学B」が新たに設けられ,また「人文学D」と「工学B」について,その応募内容が明確化された.

4.新学術領域研究の制度が一部変更になった

先日の速報で紹介したように,「国際共同研究加速基金」が開始され,そのなかで「国際活動支援班」が設置されたが,新規の研究領域の構成に「国際活動支援班」を含めて応募することが可能となった.

5.平成28年度から研究代表者と研究分担者には,科研費の交付申請前までに研究倫理教育の受講が必要となった

すでに多くの大学や研究機関で,研究倫理教育の講習会やe-ラーニングなどでの受講が行われているだろうが,公募要領をよく読んで適切に対応して欲しい.

拙著を参考にして申請書作成に十分に時間をかけ,ぜひ来年の春に採択されるように期待しています.

参考情報

本書関連項目

  • 1章-6.科研費の現状について(P34)

2015-16対応の改訂最新版!「研究目的」「学振」を大きく加筆!

科研費獲得の方法とコツ 改訂第4版

科研費獲得の方法とコツ 改訂第4版

児島将康/著

定価 3,800円+税, 2015年8月発行

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プロフィール

小島先生 写真
児島 将康(Masayasu Kojima)
’88年,宮崎医科大学大学院博士課程修了(医学博士).日本学術振興会特別研究員を経て,’93年,国立循環器病センター研究所生化学部室員,’95年より同室長.’01年より久留米大学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門教授.研究テーマと抱負:研究テーマは生理活性ペプチドの探索と機能解明.グレリンを中心とした摂食・代謝調節の研究.残り少なくなった未知の生理活性ペプチドを1つでも発見して,グレリンのときのような興奮を味わいたい.
趣味:クラシック音楽.最近のお気に入りはHugo Wolf の歌曲.
座右の銘:師匠の松尾先生から受け継いだ言葉“Hitch your wagon to a Star!”高い望みを抱き,理想に燃えよ!
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