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癌治療を例にとると,癌の治療経験が増すにつれ,機能温存手術や,小範囲切除と放射線療法の組合わせなどにより術後の生活の質を高く保とうという治療法が工夫されるようになった.治療法のみならずリハビリテーションの充実,特に癌の場合だと再発の不安に対する精神的なサポートも必要であり,患者さんを中心とした総合的なケアの重要性が認識され,これが日本のQOL重視の始まりともいえる.老人介護においても同様で,患者のノーマライゼーションやQOLを考慮に入れた在宅型のサービス,高齢者や障害者の自立性や社会性の維持・向上が重要視されており,日本でもようやくQOL重視の考え方が医療・介護の世界に浸透しつつある.

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

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