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[2017年ノーベル賞解説記事]クライオ電子顕微鏡による構造解析法の開発

産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門構造生理研究グループ 佐藤主税

2017年のノーベル化学賞は,スイスのJacques Dubochet(ローザンヌ大学),米国のJoachim Frank(コロンビア大学),英国のRichard Henderson(MRC分子生物学研究所)の3氏に贈られた.授賞理由は「溶液中で生体分子を高分解能構造測定するためのクライオ電子顕微鏡法の開発」である.

サンプルを氷の中で観察するクライオ電子顕微鏡(電顕)による観察は,微細構造の観察に革命を起こしつつある.特に,タンパク質結晶を用いない単粒子構造解析法は,構造生物学に巨大な変革をもたらしはじめた.今回のノーベル化学賞は,その方法開発に大きな貢献をした3人に授与された.それまでは氷中の分子を電顕で観察しようとしても,水を凍らせるだけで部分的に結晶状に凍って観察の邪魔になっていた.しかし,1980年代前半に,Dubochetは,この問題を回避する方法を発明する.

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2017年12月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2017年12月号 Vol.35 No.19
少数性生物学ってなんだ?
少数の因子が生命システムを制御する

永井健治/企画
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