留学先選びは,最も大切かつ難しいプロセスの1つです.留学先は,あなたの新たなアイデンティティを形成する場であり,あなたの留学後の研究テーマや研究者としてのキャリアにまで密接にかかわります.しかしながら,留学先をどう選ぶものなのか,そしてどのような段取りで進めるべきなのか,多くの方が悩まれています.私たちの先輩方は,どのように留学先を選択し,その後のキャリアに結び付けていったのでしょうか?
こんにちは,全世界日本人研究者ネットワーク(UJA)会長を務めております佐々木敦朗です.前回は,留学検討時に直面するさまざまな“壁”を分析するとともに,留学に踏み切るためのポイントをディスカッションしました.世界中の先輩方による留学体験記は随時更新されますので,そちらもぜひ参考にしてください.
第4回と第5回では,あなたの研究者としてのアイデンティティとキャリア形成に最も深くかかわる“留学先選び”および“受け入れ先からOKをもらう方法”を取り上げます.世界中の数多くのラボから,自分の将来への道が拓けるラボをどうやって見つけるのか? そしていかにして希望するラボでの研究をスタートするのか? 留学先選びの時間軸に沿って「留学先で何を狙うのかを明確にする」「留学先を探す」「受け入れOKのオファーを勝ち取る」の3つに分けて議論してゆきます.今回はまず,前者2つをテーマにしたいと思います.
あなたが留学先で何をしたいのか,それはあなたにしかわかりません.留学先を探す前に,“自分が留学先で何を得たいのか”そして“その先どうなりたいのか”を明確にすることが大事です.とは言え,可能性のある選択肢のすべてをゼロから検討する必要はありません.最初は細部へこだわらず,いま興味のある分野や技術について,自分の将来の姿を想像しながら,自分が満足できそうなオプションを考えてみるとよいでしょう.
重要なのは,自分にとっての最大優先事項は持ちつつも,事前に考えたオプションをもとに,状況に合わせて摺り合わせていくことです.留学で何をするかは,今後のあなたのキャリアに直結するので,ぜひとも視野を広げて考える時だと思います.
では,留学を経験した先輩たちは何を狙って留学されたのでしょうか? UJAが留学経験者を対象に行ったアンケートでは,実に70%を超える先輩方が,留学した動機として「研究の幅を広げること」をあげています(本連載第2回参照).留学を新たな分野へ飛び込み,新たな技術を学ぶ機会と捉えていることがわかります.
留学先は,あなたがイノベーションを生み出す場となります.留学先で習得する“力”で,自分はどのように成長するかを想像して,どう活かしていきたいたいかを明確にすれば,留学先選びで大事な点が見えてきます.留学先のもつ強み,専門性やフィロソフィーと自分の経験・強みとを合わせて,独自の研究性を生み出すことがイメージできるかが大切です.こうしたビジョンを明確にしておくと,あなたが留学希望先でインタビューを受けるときも,「なぜこの分野に来るの?」という質問に対して,堂々と答えることができます.ゴールへと向かうあなたの姿勢は必ずや,あなたの研究者としての頼もしさ,そして人間としての魅力を,相手に伝えることになるでしょう.
次に,世界中の先輩方がどのように留学先を見つけているのか,留学経験者460名を対象にUJAで行ったアンケート結果とともに,ハイライトしてみたいと思います.
アンケートで最も多かった留学先の選び方は,「論文を見て」というものでした(図1).実に30%の先輩方が,この方法で留学先を選んでいます.論文を読んだときに,その論文の何かが自分に響くように感じることがあるかと思います.ぜひ,そのラボが発表した他の論文も読んでみてください.そして,あなたが感じた“もの”がいくつかの論文にも見られるならば,そのラボはあなたの留学先の候補になります.
同時に,「おやっ?」という違和感や疑念を感じるものはないかも大切です.特に注意すべき点としては,ラボで特定の人だけが目覚ましい業績をあげている一方で,アウトプットがない人が少なからず見られる場合は,PIよりも現場の個々人の実力と運に依存しているラボの可能性があります.
あなたがどこに留学するとしても,論文として成果をまとめることは,おそらく最も重要な目的の1つです.あなたに響く論文を出すラボで,あなた自身の論文発表を目標としてトレーニングを行えば,あなたが感じた“もの”を学び,身に付けることができます.
アンケートでは,「論文を見て」とほぼ同数の先輩方が,「知り合いのツテ」で留学先を決めたと回答しています(図1)
この方法のよいところは,お互いの素性を知る“仲人”の応援があることということです.私が二度目のポスドクトレーニングを行わせていただいたLewis Cantley博士は,知り合いの研究者からの紹介を大事にされていました.雇用する側にとり,知り合いの方が推薦してくれる人物というのは1つの担保であり,見知らぬ人を雇用するよりもずっと楽なのです.“仲人”は,あなたの今の指導教官や,あなたをよく知っている先輩や友人に当たります.強く推薦してもらうには,あなたのサイエンスそして人柄が大事になります.ただし,紹介されたからといって相手をよく吟味せずに決めるのはいけません.あなたの求めるものがそこにあるのか,そして相手があなたに何を期待しているのか(あるいは期待していないのか),しっかり見極めることが大事だと思います
学会などでの出会いから留学が決まるケースもあります.アンケートでは,10.4%の先輩方が,この方法で留学先を選んだと回答しています(図1).
ウェブ情報や論文だけでは,そのボスの人となりを知るのは,なかなか難しいものです.直接会って話すことで,サイエンスのディスカッションをどのようにされるのか,また自分と価値観や相性の合うタイプの人間かどうか,感じ取ることができます.相手にも同じく,あなたのサイエンスや人柄を知っていただくことで,経験豊富なPIであれば,あなたがそのラボにフィットするかどうか率直に判断してくれるでしょう.
海外の規模の小さめの学会(例えば,ゴードン会議,キーストンシンポジア,コールドスプリングハーバーラボラトリーミーティングなど)では,合宿形式でトップの研究者と寝食をともにします.フレンドリーな雰囲気を大事にしているので,普段ではありえない出会いが生まれやすい環境です.数千人規模の大きな学会に行くよりも,実は出会いは多く,強くお薦めできます.またPIだけでなく,そのラボに所属するメンバーと懇意になって,内部者にしかわからないラボの内情や率直な意見を聞き出すのもよいアプローチだと思います.
留学先選びにおける難しさは,行きたいラボがあっても,新たなメンバーを受け入れていないケースが多々あることです.
公募情報からの留学の最大のメリットは,相手が“フリー&募集中”であることが確実な点です.Nature誌,Science誌などの科学雑誌や専門誌には求人広告の欄があるので,メーリングリストへ登録しておくのもよいでしょう.また,「研究留学ネット」などの留学支援サイトを活用することで,オープンポジションの情報が得られます.気を付けたいのは,しょっちゅう公募を出しているラボは何らかの問題を抱えている可能性があるという点です.焦らずじっくりと情報収集することをお薦めします.
またスキップしてしまいましたが,アンケート第4位の(留学希望先の)ホームページも重要な情報源です.
先にも少し触れましたが,留学先での成果を論文にすることは,あなたの次のキャリアステップにおいて大事な要素です.そのためには,ラボの主宰者の研究スタイルとフィロソフィーを前もって知っておくとよいでしょう.ぜひ,次のようなポイントに注目してみてください.
Publication Listに記載された雑誌が高IFの一流誌ばかりのラボ.実に魅力的なラボですが,もしかしたら“一流誌縛り”があるかもしれません.一流誌に載るような仕事は,通常は相当の努力と時間そして運も必要になります.あなたの持ち味とラボの強みがシナジーを発揮し,会心の一打で一発ホームランのケースもありますが,そうでないこともあります.一流誌縛りのラボへの参加は,ハイリスクハイリターンな選択と言えるかもしれません.
またそこでの仕事を,留学を終えた後も持って出ていけるかどうかも重要な確認事項です.すでにestablishされたラボの方針に従って高IFな雑誌に論文を出せることと,自身のオリジナリティを確立することとは全く別問題です.
逆に低IFの雑誌への発表が主体のラボの場合は,“質より量”のフィロソフィーが流れているか,時流に流されずにソリッドな仕事をするラボなのかもしれません.こうしたラボでは,より早く,可能性高く,論文として成果を挙げられるかもしれません.ハイインパクトでなくとも将来につながる筋の通った仕事にできるかどうか,あなたのフィロソフィーが問われるところです.
また実際のところ,多くのラボは上記の混合型の戦略をとっていると思われます.あなたの研究の結果や,留学期間を鑑みた現実的な判断により,論文を出せる可能性を高めることができるでしょう.
共著者の数と所属を見れば,そのラボの主宰者がチームワーク型の研究スタイルを好むかどうか,そしてそのラボがどのような共同研究を行うのかが見えてきます.チームワークや共同研究を大切にするラボでは,あなたは多くの研究者との連携を得て,自分ひとりではできないことも可能になります.同時に,あなた自身が貢献し共著論文を増やす機会は多くなると思われます.
一方,共著者が所属ラボ主体の場合,そのラボは研究遂行に必要なほぼすべての技術やリソースを確保していると考えられます.これは酵母を用いた遺伝学的解析や,特殊技術をもつラボ,システムバイオロジー主体のラボなどでよく見られます.もちろん,ラボの主宰者が自前で研究を進めていくスタイルが好きなだけ,ということも考えられます.
上記の混合型は,状況に応じて共同研究を行うラボとなります.また,なかには極端に共著者の名前が少ない(例えば,論文のほとんどがポスドクとラボ主宰者など)ケースもあります.共著者の選定の絶対基準はなく,多くはラボ主宰者の判断によります.あなたの留学先での業績にかかわってくるファクターですので,注意深く観察することをお薦めします.
留学先がどのような研究費を獲得しているかをあまり気にせずに留学される方もいらっしゃるようですが,ラボの浮沈が研究費獲得にかかってくる米国では,特に切実な問題です.
論文のAcknowledgementsには,その研究がどの研究資金によって行われたのかが記載されています.また,米国政府の研究費の獲得状況とその期間は 「Reporter」というウェブサイトから調べることができます.
ラボの研究費事情によっては,あなた自身が積極的にフェローシップや研究費の獲得を進める必要があるかもしれません.一見,できれば避けて通りたいと感じますが,あえてそのようなラボに挑戦すれば,貴重なトレーニングを積むことになるでしょう.
興味のあるラボの最近の卒業生の進路を調べてみると,そのラボのキャリア育成基盤が見えてきます.多くのPIを輩出しているラボもあれば,有名な割に卒業生がアカデミアであまり活躍していないラボもあります.人材育成とキャリア形成を重視して独立を支援してくれるラボもあれば,卒業生は競争相手とみなして研究テーマを持ち出させないというところもあります.もし海外でそのまま独立を考える場合には,特に重要な点です.
余談ですが,私は留学先のインタビュー(面接)の際に「キャリアゴールの1つとして,アメリカでPIになりたいんです」と伝えてきました.「ほう,面白いことを言うな」という反応もあれば,「英語の勉強をしなさい」といったアドバイスや,「サポートするよ」という言葉をかけてくださることもありました.「何を当たり前のこといってるんだ」という表情だったのは,私の2番目の留学先のLewis Cantley博士です.
留学先を探すにあたって,大学や研究所を気にする人はいても,その土地柄を気にする方は思いのほか少ないようです.しかし第3回で詳しく述べたように,土地柄や生活環境はあなたが国際的研究者として成長するための重要な場であり,一緒についてきてくれたパートナーや家族にとっては,人生の場そのものです.行ってみなければわからないことも多いですが,研究機関のある場所についても情報を集め,そしてもし機会があれば,事前に訪れることを推奨します.
学問に入らば大いに学問すべし。農たらば大農となれ、商たらば大商となれ。
学者小安に安んずるなかれ。
―福澤諭吉「学問のすゝめ」十編より
“留学で,何をやりたいか見つからない”
“興味がある分野は何となくあるけれど,いろいろ考えてしまう”
留学先を考えるとき,多くの方が「自分は何をやりたいのか」に悩みます.何のために留学するのか考えることは,あなたが何のために研究するのか,何のために生きるのかを,自ら問う過程でもあります.すぐにはわからないかもしれませんが,あなた自身を熱くするものが何なのかは,論文や学会での交流,友人との会話,先輩の体験談など,具体的なものに刺激を受けるほどにイメージしやすくなります.そして自ら問い続けるなかで,少しずつ,少しずつ,あなたの強み,あなたらしさ,そしてあなたの志は形をなしていきます.
誰にとってもベストの留学先などありません.思い描いたストーリー通りにならないこともあります.それでも,あなたが自分と向き合って選んだ場所が,あなたにとり最高の留学先です.あなたの未来の扉は1つではありません,視点を変えればいたるところに扉があることに気づくことでしょう.さあ大きく息を吸って,あなたの未来を拓く旅へ踏み出しましょう.So Let’s Find Yourself!
米国オハイオ州立シンシナティ大学・助教授.’95,東京理科大学卒業,’97年,広島大学大学院 修士課程修了,2001年,久留米大学にて増殖因子シグナルの負の制御機構の研究で博士号〔指導教官・吉村昭彦教授〕.’02 年,日本学術振興会(JSPS)特別研究員としてカリフォルニア大学サンディエゴ校のRichard Firtel博士の研究室に留学(Ras/PI3Kの動態解析).’05年,大陸横断,JSPS海外特別研究員としてハーバード大学のLewis Cantley博士の研究室へ異動(Ras/PI3K の制御とがん代謝解析).’12 年より現職.GTP エネルギーのがんと疾患における制御について新分野開拓中.家訓は「起こったことはいいことだ」.気付けば,息子18歳,娘は15歳.家族4人のドタバタ留学は続く研究室ウェブサイト
東海大学医学部分子生命科学・助教,東海大学マイクロ・ナノ研究開発センター・研究員.2008年,東京医科歯科大学大学院修了(指導教官・田中博教授,新村芳人准教授),博士(理学).国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ研究センター五條堀孝研究室・博士研究員.’11年9月から’13年3月までハーバード大学進化生物学科Daniel Hartl研究室・客員研究員(JSPS特別研究員).’13年4月より現職.ゲノムの進化に興味を持ち,現在はウイルスが宿主に内在化した塩基配列,内在性ウイルスの機能や進化に興味をもち研究を進めている.
神戸大学自然科学系先端融合研究環重点研究部・特命准教授.’06年,東京大学博士課程修了(指導教官・長田敏行教授,黒岩常祥教授),博士(理学)取得,’06年~’08年,立教大学博士研究員,’08年~’13年,ハーバード大学医学部システム生物学科Pamela Silver研究室・博士研究員(JSPS特別研究員・海外研究員),’13年6月より現職.生命の分子進化や細胞内共生・水平伝播という現象から生命システムの成り立ちを考察しつつ合成生物学やゲノム編集技術のアプローチを取り込んだ新たな展開を目指している.
今井祐記(愛媛大学)/岩渕久美子(ハーバード大学)/川上聡経(ハーバード大学)/黒田垂歩(バイエル薬品株式会社)/小藤香織(シンシナティ大学)/坂本直也(ミシガン大学)/佐々木敦朗(シンシナティ大学)/高濱正吉〔アメリカ国立眼研究所/アメリカ国立衛生研究所(NIH)〕/高濱真実(UJA)/中川 草(東海大学)/西田敬二(神戸大学)/本間耕平(日本医科大学)/谷内江 望(東京大学)
小林純子(北海道大学大学院医学研究科)
2010年12月より2年間,当時生後7カ月だった娘と6才のオス猫を連れ,日本学術振興会海外特別研究員として英国エジンバラ大学に留学していました.幸いなことに夫も同時期に海外特別研究員に採用され,家族そろっての研究留学生活となりました.この体験記では,私のように子ども,もしくはペットを連れて研究留学をしたいと考えている方に少しでも参考になればと思い,私の経験をご紹介したいと思います.
2010年3月,補欠合格となっていた海外特別研究員への採用が決定しました.その時,私は妊娠8カ月.3月末の学会発表を最後に,同じく海外特別研究員に採用が決定していた夫の住む仙台へと移り住みました.4月末に娘を出産後,12月の留学出発までの間,職場の先生方のご厚意により育児休暇をとらせていただき,仙台で夫とともに育児をしながら留学準備に取り組むことになりました.
娘の離乳食が始まった夏の終わりごろから,留学準備を本格的に始めることになりました.エジンバラで仕事をするにあたって欠かせないのは,日中娘を預かってくれる保育園です.私たちの場合,夫の努力とエジンバラ大学の方の協力により留学前に住むところが決定していたので,Google mapで自宅近くの保育園を探し,片端からメールで連絡をしてみることにしました.しかし,待てども待てども返事は来ません…….留学出発まで1カ月を切ってもどこの保育園からも音沙汰がない状況でした.思い切って保育園に問い合わせの国際電話をかけるも,早口の英語についていけず「メールを送ります」と伝えるのが精いっぱいでした.けれど,結局その保育園からメールの返事は届きませんでした.そうこうしている間に出発の日が近づいてきました.このまま決まらなければ現地に到着してから探すしかないか……と半ばあきらめかけていたとき,1つの保育園から返信のメールが来ました.「受け入れOK」とのこと.面談の日時を相談して,なんとか仕事はじめに間に合うことになりました.
私には大学院生の時から飼っている愛猫がいます.留学が決定したときも,日本に置いていくという選択肢は私にはありませんでした.当時6才.2年の留学を終えて帰ってくるときには8才になりますが,まだまだ飛行機移動には耐えられる年齢です.留学が決定したとき,一番早く準備を始めたのはネコの手続きでした.なぜなら,イギリスは日本と同じく狂犬病フリーの島国であるため,狂犬病を持ち込まないために狂犬病ワクチンを接種し,抗体価が上がっていることを所定の検査機関で確認したあと,6カ月間国内で待機する必要があったからです.まず個体を識別するためのICチップを動物病院で装着してもらいました.その後,狂犬病ワクチンを2回接種してもらい,採血して得られた血清を検査機関に送付し,抗体価の測定をお願いしました.日本ではイヌへの狂犬病ワクチン接種は義務付けられていますが,ネコへの投与は一般的ではありません.動物病院の獣医さんに事情を説明し,英語で書かれた診断書の作成やイギリス入国時の検疫に関する書類へのサインをお願いしました.基本的に書類はすべて自分たちで用意してあらかじめ鉛筆の下書きをしておき,獣医さんにはそれを見ながら書いてもらうようにしました.ICチップの装着から抗体価の測定結果が出るまで,2カ月ほど動物病院に通うことになりました.
航空会社によってはペットを機内に持ち込むことができるのですが,私たちが利用したBritish Airwaysはペットを機内に持ち込むことができませんでした.また,個人の手続きによるイギリスへのペットの持ち込みは認められていないため,日本通運にお願いしてネコの渡航準備を進めました.出発前48時間以内に駆虫薬の投与と獣医による健康診断書を得る必要があったため,出発間際にも動物病院に行かねばなりませんでした.
ビザも無事に取得でき,出発が近づいてきました.しかし,仙台を離れる数日前に娘が突然発熱しました.生まれて初めての高熱です.引っ越し準備でてんやわんやでしたが,娘を近くの小児科に連れて行き,海外に渡航することを伝えて解熱剤を多めに処方してもらいました.
そしていよいよ渡英の日,前泊した上野のウィークリーマンションを日の出とともに出発し,始発電車で成田空港へ向かいました.成田空港に到着するとまずネコを預けに行きました.ネコの引き渡しは空港ターミナルから離れたビルで,かけつけてくれた実姉と夫の母とともにみんなで移動しました.ネコにお別れを言い,無事にヒースロー空港で会えるように祈りながらターミナルビルに戻りました.宅配便で送った荷物を受け取り,チェックインを済ませればいよいよ搭乗です.疲れた娘は抱っこ紐の中ですやすやお休み中.おでこには冷えピタ.とにかく無事にエジンバラの家までたどり着けますように.祈る気持ちで飛行機に乗り込みました.(次回に続く)