変化に対する苦痛・恐怖を克服する(2008年3月号)のOnline Supplement Material
本誌連載 第3回「変化に対する苦痛・恐怖を克服する」では,「変化を促進するシステム」としての米国のアカデミック・キャリアパスを例に挙げていただきました.今回のOnline Supplement Materialでは,具体例としてのNIH(米国国立衛生研究所)で実施されているグラント(助成金)を,ご紹介いただきます.(編集部)
研究者はPIとして独立すると自分のユニークな専門性を確立することに専心する.そして,一般的には自分の研究成果や業績の上に新たな業績を徐々に打ち立て,自らのプロフェッショナルとしての専門性を深めていく.このように段階的に一歩一歩プロジェクトを進めていく逐次的(incremental)なアプローチは成功率が高いと考えられ,政府からのグラントを得やすい傾向にあった(政府は税金を無駄にしないため,成功率の高い研究に投資するのはやむをえない面がある).しかし,大きなイノベーション(革新)につながるような研究は逐次的なアプローチだけでは生まれない懸念がある.そこで,大きなイノベーションをめざし,米国政府(NIH)は研究者に徹底的な変化を推奨するNIH Director's Pioneer Award(http://nihroadmap.nih.gov/pioneer/)を最近導入している.
このグラントに応募するための最も重要な条件が:
とあり,これも「変化」をもたらす創造的な断続性のシステムの1つと考えられる.