微生物の基礎知識から院内感染対策,手指消毒やマスクの脱着方法まで,将来医療に従事する学生にとって必要な知識をコンパクトにまとめた教科書.看護師国家試験に頻出の内容も網羅.臓器・組織別感染症の章も必見
目次
序
本書の使い方
感染症の基本編
第1章 微生物学・免疫学の発展の歴史
1 微生物とは
2 微生物学・免疫学の発展の歴史
1 微生物学の歴史/2 感染制御と治療学/3 免疫学の歴史
3 感染症の現状
第2章 微生物学の基礎(生物学的特徴)
1 生物の分類
2 真核細胞と原核細胞の相違点
3 微生物の生物界における位置づけ
4 微生物の特徴
1 原虫(真核生物)/2 真菌(真核生物)/3 細菌(原核生物)/4 ウイルス/5 プリオン
第3章 微生物と感染症
1 感染症とは
1 感染の成立/2 感染症の一般的な経過
2 感染源
1 外因性感染/2 内因性感染
3 感染経路
1 水平感染/2 垂直感染(母子感染)/3 病原体の侵入口(侵入門戸)
4 新興・再興感染症
第4章 免疫と生体防御機構
1 免疫とは
2 抗原
1 抗原とは/2 完全抗原と不完全抗原
3 免疫担当細胞
1 免疫組織と臓器/2 免疫担当細胞
4 自然免疫
1 物理的・生理的障壁/2 常在微生物叢(フローラ)/3 食細胞
5 獲得免疫
1 獲得免疫の4つの特徴/2 獲得免疫の成立/3 体液性免疫/4 細胞性免疫
6 アレルギー
1 Ⅰ型アレルギー(即時型,アナフィラキシー型)/2 Ⅱ型アレルギー(細胞障害型)/3 Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型)/4 Ⅳ型アレルギー(遅延型)
7 自己免疫疾患
8 移植免疫
1 血液型/2 拒絶反応
9 免疫不全症
第5章 感染症の制御
1 感染症を制御するための法律
1 感染症法/2 予防接種法
2 ワクチン
1 代表的な接種方法/2 ワクチンの種類
3 滅菌と消毒
4 滅菌法
1 加熱滅菌法/2 照射滅菌法/3 ガス滅菌法/4 濾過滅菌法
5 消毒法
1 物理的方法/2 化学的方法(消毒薬)
6 医療関連感染症
1 医療関連感染症の発生要因と原因微生物/2 医療関連感染症防止対策/3 標準的予防策/4 標準的予防策の実行/5 感染経路別予防策/6 医療従事者の感染防止対策
第6章 化学療法と耐性菌
1 感染症の化学療法
2 抗菌薬
1 作用機序/2 抗菌薬の作用点/3 抗菌スペクトルと薬剤感受性/4 抗菌薬による感染症の治療/5 抗菌薬の副作用・相互作用/6 薬剤耐性(AMR)とその対策/7 代表的薬剤耐性菌
3 抗ウイルス薬
1 抗ウイルス薬の作用点/2 抗インフルエンザ薬/3 抗HIV薬/4 抗ヘルペス薬/5 抗B型肝炎薬/6 抗C型肝炎薬
4 抗真菌薬
1 抗真菌薬の作用点/2 真菌感染症の治療薬
病原体の各論編
第7章 細菌学各論
1 グラム陽性球菌
1 黄色ブドウ球菌/2 化膿レンサ球菌(A群溶血性レンサ球菌)/3 ストレプトコッカス・アガラクチエ(アガラクチア菌)/4 肺炎球菌/5 腸球菌
2 グラム陽性桿菌
1 炭疽菌/2 セレウス菌/3 リステリア・モノサイトゲネス/4 乳酸桿菌/5 ビフィズス菌/6 破傷風菌/7 ボツリヌス菌/8 ウエルシュ菌(ガス壊疽菌)/9 クロストリディオイデス・ディフィシル/10 結核菌/11 非結核性抗酸菌/12 らい菌/13 ジフテリア菌
3 グラム陰性通性嫌気性菌
1 病原性大腸菌/2 赤痢菌/3 サルモネラ属菌/4 ペスト菌/5 セラチア菌/6 肺炎桿菌/7 ビブリオ属/8 インフルエンザ菌
4 グラム陰性好気性桿菌
1 緑膿菌/2 モラクセラ・カタラリス/3 アシネトバクター属菌/4 レジオネラ・ニューモフィラ/5 コクシエラ・バーネッティ/6 バルトネラ・ヘンセレ/7 百日咳菌/8 カンピロバクター属菌/9 ヘリコバクター・ピロリ
5 グラム陰性球菌
1 淋菌/2 髄膜炎菌
6 スピロヘータ
1 梅毒トレポネーマ/2 ライム病ボレリア/3 レプトスピラ
7 マイコプラズマ,リケッチア,クラミジア
1 肺炎マイコプラズマ/2 ツツガムシ病リケッチア/3 日本紅斑熱リケッチア/4 クラミジア・トラコマチス/5 オウム病クラミジア/6 肺炎クラミジア
第8章 ウイルス学各論
1 DNAウイルス
1 痘瘡(天然痘)ウイルス/2 ワクニチアウイルス/3 伝染性軟属腫ウイルス/4 サル痘ウイルス/5 ヒトヘルペスウイルスの仲間/6 ヒトアデノウイルス/7 ヒトパピローマウイルス(HPV)/8 ヒトパルボウイルス
2 RNAウイルス
1 ポリオウイルス/2 コクサッキーウイルス,エコーウイルス,エンテロウイルス/3 ライノウイルス/4 ヒトコロナウイルス/5 インフルエンザウイルス/6 パラインフルエンザウイルス/7 ムンプスウイルス/8 麻疹ウイルス/9 ヒトRSウイルス/10 ヒトメタニューモウイルス/11 風疹ウイルス/12 ロタウイルス/13 ノロウイルス/14 フラビウイルスの仲間/15 狂犬病ウイルス/16 アレナウイルスの仲間/17 マールブルグウイルス,エボラウイルス/18 ハンタウイルスの仲間/19 レトロウイルスの仲間/20 肝炎ウイルス
第9章 真菌学各論
1 深在性真菌症
1 カンジダ・アルビカンス/2 アスペルギルス・フミガーツス/3 クリプトコックス・ネオフォルマンス/4 ニューモシスチス・イロベチイ
2 表在性真菌症
1 白癬菌/2 カンジダ・アルビカンス/3 マラセチア・フルフル
第10章 原虫学各論
1 根足虫類
1 赤痢アメーバ/2 アカントアメーバ
2 鞭毛虫類
1 腟トリコモナス/2 ランブル鞭毛虫
3 胞子虫類
1 クリプトスポリジウム属/2 トキソプラズマ/マラリア原虫
第11章 蠕虫学各論
1 回虫
2 アニサキス
3 エキノコックス
4 蟯虫
5 肺吸虫
感染症の臨床編
第12章 臓器・組織別感染症
1 呼吸器系感染症
A 上気道炎,咽頭炎,気管支炎/B 伝染性単核症/C 細菌性肺炎/D 肺結核/E レジオネラ肺炎/F 百日咳/G インフルエンザ/H 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
2 消化器系感染症
A 急性虫垂炎/B 急性胆嚢炎,胆管炎/C ウイルス性肝炎/D 細菌性食中毒/E ウイルス性腸管感染症/F 細菌性腸管感染症/G 原虫腸管感染症/H 偽膜性大腸炎/I 胃潰瘍,十二指腸潰瘍など
3 性行為感染症
A 性器クラミジア感染症/B 淋菌感染症(淋病)/C 性器ヘルペスウイルス感染症/D 尖圭コンジローマ,子宮頸がん/E 梅毒/F 後天性免疫不全症候群(AIDS)
4 尿路感染症
A 尿道炎/B 膀胱炎/C 腎盂腎炎
5 中枢神経系感染症
A ウイルス性脳炎/B 髄膜炎
6 循環器系感染症
A 感染性心内膜炎/B 胸膜炎/C 菌血症
7 感覚器感染症
A 副鼻腔炎/B 中耳炎/C 結膜炎/D 流行性耳下腺炎(ムンプス)
8 全身性感染症
A ジフテリア/B 破傷風/C 劇症型溶血性レンサ球菌感染症/D 麻疹(はしか)/E 風疹/F 伝染性紅斑/G 手足口病/H 突発性発疹/I 水痘・帯状疱疹/J 敗血症
9 皮膚・軟部組織感染症
A 伝染性膿痂疹/B 丹毒/C 毛嚢炎/D 蜂窩織炎/E 単純疱疹(単純ヘルペス感染症)/F 皮膚真菌症
付録
感染症,病原微生物,免疫,治療などに関する情報サイト
感染症の流行する時期
感染症マップ
チェック問題 解答解説
索引
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長年、看護や歯科衛生の数校で微生物学を担当してまいりましたが、困ってましたのは教科書でして、感染制御を実践かつ実戦的に向かう立場(コロナ禍で明示)の看護系の教育には必ずしも向かないものしかないため、それら本の中身を自身で再編などして使っておりました。そういう中で登場したのが増澤著の感染制御の基本がわかると副題された本でした。学生にとっては、時宜を得たという前に基本を踏まえた分かりやすく、かつ学ぶことが楽しい本、その的確かつ多彩な図解の面を捉えるならば、まるで児童に夢を与える絵本のような、そんな感すら覚えます。新年度からはこの本を採用させていただきます。
私立大学教員
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この度の増澤教授の著書で初めて真に適切な素晴らしい教科書に出会った。該博な知識と豊富な経験に裏打ちされ、最新の知見も取り入れながら感染症の制御を軸に、いわゆる総論から各論に至るまでバランスよくまとまった好著となっている。一方、読者にとってすぐに役立つ実用的な一面も見えている。比較的簡潔な記述と適切な設問、図表のイラストは読者に負担を感じさせることなく、いわば自然に理解を深めていく効果がある。この好著の背景に一貫して横たわる著者の哲学をみることができる。
公立大学名誉教授
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- 【本書名】感染制御の基本がわかる微生物学・免疫学
- 【出版社名】羊土社
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