基礎から学ぶゲノム医療

  • 平沢 晃/編
  • 2024年07月31日発行
  • B5判
  • 134ページ
  • ISBN 978-4-7581-2172-9
  • 3,520(本体3,200円+税)
  • 在庫:あり
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小児領域では先天異常とかかわる診療機会が多く,その主な原因内訳は染色体疾患,コピー数異常,単一遺伝子疾患などである.…

吉橋博史(東京都立小児総合医療センター遺伝診療部臨床遺伝センター臨床遺伝科)

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あらゆる医療者に求められるゲノム医療について体系的にカラーで学べる初学者向けテキスト.遺伝形式,遺伝カウンセリング,遺伝学的検査などの基礎や,難病・小児・生殖/周産期・がんなどの臨床の実際を解説.

目次

はじめに ─ゲノム医療を自らのものとして考えるために─【平沢 晃】

1章 ゲノム医療の基礎【岡崎哲也】

1-1 ゲノム医療の歴史

1)メンデルの法則と遺伝形式の発見
2)ヒト染色体と染色体異常症の発見
3)DNAの塩基配列と遺伝子の解明
4)ヒトゲノムプロジェクト
5)次世代シークエンサーによるゲノム解析
6)現在のゲノム医療

1-2 ゲノムの構造と機能

1)ヒトの細胞とゲノム
2)ゲノムの基本構造としてのDNAの塩基配列
3)ゲノムの基本構造としての染色体
4)体細胞分裂と減数分裂
5)タンパク質の設計図としてのゲノム

1-3 ゲノム情報と疾患

1)塩基配列の違い(バリアント)
2)染色体の異常

1-4 単一遺伝子疾患と多因子疾患

1)単一遺伝子疾患とメンデル遺伝形式
2)多因子疾患

1-5 ゲノム医療を取り巻く環境や課題

1)ゲノム医療に関する医療体制の課題
2)遺伝カウンセリング提供体制の充実に向けた取り組み
3)ゲノムによる多様性の理解/認識の共有
4)ゲノム医療を加速させるためのデータシェアリング

2章 遺伝カウンセリングと遺伝学的検査【十川麗美,加藤芙美乃,二川摩周,深野智華】

2-1 遺伝カウンセリング

1)遺伝カウンセリングとその定義
2)遺伝カウンセリングの歴史
3)遺伝カウンセリングの実際
4)遺伝カウンセリングの基本態度

2-2 家族歴と家系図

1)家族歴と家系図
2)家系図の表記方法
3)家系図を活用する

2-3 遺伝学的検査

1)医療で用いる遺伝子の検査
2)遺伝学的検査の前に考慮すること
3)遺伝学的検査の目的
4)遺伝学的検査の流れ
5)遺伝学的検査の解釈
6)遺伝学的検査の結果開示と血縁者への対応

3章 ゲノム情報にもとづいた治療薬の選択【莚田泰誠】

3-1 薬の効果・副作用における個人差

3-2 ゲノム薬理学と薬理遺伝学

3-3 薬物動態に関連する薬理遺伝学検査

1)薬物動態と薬の効果・副作用
2)薬物代謝酵素遺伝子

3-4 薬物動態に関連しない薬理遺伝学検査

1)HLA遺伝子群
2)薬疹の発現リスクに関連するHLAアレル

4章 難病のゲノム医療【石浦浩之】

4-1 難病とは?

1)難病とはどういった疾患か?
2)難病のゲノム医療の具体例

4-2 遺伝性疾患の病態メカニズム

4-3 ゲノム情報にもとづく治療

4-4 正確な診断のためのゲノム解析手法

4-5 わが国における難病患者支援体制

5章 小児の先天異常に関するゲノム医療【吉橋博史】

5-1 先天異常症候群とは

5-2 小児遺伝診療の実際

1)診断をめざす前に
2)臨床診断(clinical diagnosis)
3)遺伝学的診断(genetic diagnosis)

5-3 未診断疾患に対する診断アプローチ

5-4 先天異常に関する社会資源と家族支援

5-5 先天異常における移行期医療

5-6 小児に対する遺伝カウンセリング

6章 生殖・周産期のゲノム医療【佐々木愛子】

6-1 生殖・周産期における遺伝医療の歴史

1)背景
2)日本における出生前遺伝学的検査の歴史
3)出生前遺伝学的検査における生命倫理の歴史
4)着床前遺伝学的検査における日本の歴史

6-2 出生前/着床前遺伝学的検査にかかる現状と課題

1)出生前遺伝学的検査における現状と課題
2)着床前遺伝学的検査における現状と課題
3)ノーマライゼーションとSRHRにおける課題

7章 がんのゲノム医療【山本英喜】

7-1 がんとゲノム異常

1)「がん」の歴史
2)「がん」をゲノムの観点から理解する
3)がんの発生に関連する遺伝子

7-2 がんの予防と遺伝性腫瘍

1)遺伝性腫瘍の特徴
2)遺伝性腫瘍の遺伝学的検査と浸透率
3)遺伝性腫瘍と非遺伝性腫瘍
4)多遺伝子パネル検査(MGPT)
5)遺伝性腫瘍に対する先制医療

7-3 がんの遺伝子解析と個別化治療

1)わが国におけるがんゲノム医療の導入
2)がんの個別化医療の実際
3)がんゲノム医療で見出されるgermline findings

8章 ゲノム情報の利活用【冨田秀太】

8-1 ゲノム医療の現状と全ゲノム解析時代の到来

1)本邦におけるゲノムデータ蓄積と利活用の推進
2)がん遺伝子パネル検査から全ゲノム解析へ
3)全ゲノム解析とは

8-2 病的バリアントを調べるためのデータベース

1)遺伝子の概要を知る手法
2)遺伝子バリアントの臨床的意義を知る手法
3)同一疾患やコホートにおける遺伝子バリアントの頻度を知る手法

8-3 遺伝子の概要を知る手法

1)GeneCards ®:The Human GeneDatabase
2)UCSC Genome Browser

8-4 遺伝子バリアントの臨床的意義を知る手法

1)OncoKB ™
2)COSMIC
3)ClinVar

8-5 同一疾患やコホートにおける遺伝子バリアントの頻度を知る手法

1)cBioPortal for Cancer Genomics
2)がんゲノム情報管理センター(C-CAT)

8-6 大規模全ゲノムデータを活用した解析方法

1)ゲノムワイド関連解析(GWAS)とポリジェニックリスクスコア解析
2)マルチオミクスデータを用いた予測モデルの構築

9章 ゲノム医療における倫理的・法的・社会的課題(ELSI)【髙橋沙矢子,甲畑宏子,吉田雅幸】

9-1 ゲノム医療における倫理的課題

1)成人期発症疾患の発症前遺伝学的検査
2)小児領域における遺伝学的検査
3)出生前遺伝学的検査と着床前遺伝学的検査
4)二次的所見との取り扱い

9-2 ゲノム医療における法的課題

1)遺伝情報による差別の禁止
2)プライバシーとしての遺伝情報の保護
3)研究における倫理指針

9-3 ゲノム医療における社会的課題

9-4 バイオバンクとELSI

9-5 ゲノム情報のデータシェアリングと患者・市民参画(PPI)

おわりに ─ゲノム情報を有効に活用可能な世の中をめざして─【平沢 晃】

索引

Column

モザイク(mosaicism)
新生変異(de novo
ミトコンドリアDNAとミトコンドリア病
DTC遺伝子検査とは?
妊娠週数と各種検査の時期
情報学的な塩基数の数え方

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