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概論―褐色脂肪の真価に迫る研究展開

New advances in roles of brown fat beyond canonical thermogenic function
米代武司,梶村真吾
Takeshi Yoneshiro 1)/Shingo Kajimura 2):東北大学大学院医学系研究科分子代謝生理学分野 1)/ハーバード大学医学部・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター内分泌・糖尿病代謝学分野2)
10.18958/7641-00036-0001777-00

褐色脂肪は長い間,熱産生に特化した発熱器官であると考えられてきた.ところが近年,褐色脂肪は熱産生とは別に,糖や脂質の代謝調節に重要な働きをすることが示唆されている.ヒトを対象とした横断研究においても,褐色脂肪が肥満・体重とは無関係に2型糖尿病や心疾患リスクを軽減していることが示された.これら褐色脂肪の熱産生に非依存的な機能の作用機序として,肝臓での酸化ストレス低減作用や白色脂肪組織での線維化抑制作用,血管損傷に伴う炎症の抑制作用があることが示された.褐色脂肪がもつ熱産生以外のさまざまな生理作用を解明することができれば,生活習慣病をはじめさまざまな疾患の治療法の糸口になると期待される.

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