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腎臓の老化と線維化

Renal fibrosis and aging
鳥生直哉,柳田素子
Naoya Toriu1)/Motoko Yanagita1)2):Department of Nephrology, Graduate School of Medicine, Kyoto University1)/Institute for the Advanced Study of Human Biology(ASHBi),Kyoto University2)(京都大学大学院医学研究科腎臓内科学1)/京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点2)
10.18958/7013-00001-0000118-00

慢性腎臓病(chronic kidney disease,CKD)では,その病因にかかわらず間質領域の線維化が認められる.腎臓の線維化は,腎臓の間質に存在する腎線維芽細胞や周皮細胞が筋線維芽細胞に形質転換し,過剰な細胞外基質を分泌することで惹起される.この形質転換の過程で,腎性貧血や傍尿細管毛細血管の消失などのCKDに特徴的な病態が引き起こされる.一方で,筋線維芽細胞の腎保護作用などの正の側面についても示唆されている.また,高齢腎で誘導され慢性炎症を引き起こす腎三次リンパ組織の形成にも,特殊に分化した腎線維芽細胞が寄与している.本稿では,腎線維化のメカニズムに加え,腎三次リンパ組織の意義とCKDの治療可能性について概説する.

慢性腎臓病,線維化,線維芽細胞,筋線維芽細胞,三次リンパ組織

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