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感覚刺激を介した治療薬の創出「感覚創薬」の可能性
匂い分子が誘導する「人工冬眠・生命保護状態」と疾患への効果

小早川 高
Ko Kobayakawa:Institute of Biomedical Science, Kansai Medical University(関西医科大学附属生命医学研究所)
10.18958/7195-00002-0000431-00

生物は危機状態を生き抜く保護能力を進化させたが,その人為的な誘導法は不明であった.われわれは,先天的恐怖臭刺激が三叉・迷走神経のTRPA1を介して脳幹-中脳経路を活性化することで「人工冬眠・生命保護状態」を誘導でき,致死的な環境や病態モデルでの生存能力が高まることを発見した.つまり,匂い分子が「薬」となる可能性があり,実際に敗血症,心筋梗塞,脳梗塞など難治性疾患の動物モデルで効果が確認されている.このような,感覚刺激を介した治療薬の創出「感覚創薬」の試みを紹介する.

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