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栄養素嗜好性の神経科学

Neural mechanism for nutrient selection
中島健一朗
Ken-ichiro Nakajima:Graduate School of Bioagricultural Sciences, Nagoya University(名古屋大学大学院生命農学研究科食理神経科学研究室)
10.18958/7569-00001-0001742-00

近年,世界規模で肥満が社会問題になっている.また,日本などの先進国ではこれらに加えて高齢者の食欲不振や若年女性の拒食症も深刻化している.過去約15年間にわたる神経科学の進展により,総カロリー摂取量を調節する神経メカニズムの実態がわかりつつある.その一方,さまざまな食物が身の回りにある際に何を選んで食べるかを決定するしくみや,脳が個々の栄養素を感知するしくみについては不明な点が多い.また,食物選択の基準は常に一定ではなく,条件によって変化する.本稿ではこうした課題を解明しようとする,栄養素嗜好性の神経基盤研究について解説する.

恒常性,嗜好性,雑食,栄養素,糖質

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