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グリア細胞による痛覚の調節機構

Regulation of pain by glial cells
津田 誠
Makoto Tsuda:Department of Life Innovation, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University(九州大学大学院薬学研究院ライフイノベーション分野)
10.18958/6535-00001-0000871-00

侵害刺激を含む体性感覚信号を末梢組織から脊髄後角を経由して脳へ伝達するのは疑いなく神経である.一方で,これまで約15年間で,痛覚伝達経路に存在するグリア細胞が痛覚伝達とその異常,特に組織炎症や神経障害に伴う慢性疼痛にきわめて重要な役割を担っていることが数多く報告され,現在,痛覚の受容・伝達・処理プロセスや慢性疼痛メカニズムを理解するうえで,グリア細胞は欠かせない存在となっている.また,慢性疼痛治療においてもグリア細胞をターゲットとした創薬が進行している.本稿では,中枢および末梢神経系に存在する5種類のグリア細胞(ミクログリア,アストロサイト,オリゴデンドロサイト,シュワン細胞,サテライトグリア)に注目し,これまでの成果と最新知見から,現在想定されている役割とメカニズムについて概説する.

ミクログリア,アストロサイト,オリゴデンドロサイト,シュワン細胞,サテライトグリア,神経障害性疼痛

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