スマホで読める実験医学
550円

Y染色体後天的喪失のモザイクとその遺伝的機構が示すメカニズム

Biological insights from genetic findings in mosaic loss of chromosome Y
寺尾 知可史
Chikashi Terao:Laboratory for Statistical and Translational Genetics, RIKEN Center for Integrative Medical Sciences(理化学研究所生命医科学研究センターゲノム解析応用研究チーム)
10.18958/6543-00001-0000884-00

Y染色体喪失は後天的な染色体レベルの体細胞変異で最も頻度の高いものの一つであり,体細胞モザイク(mLOY)を引き起こす.われわれは,バイオバンクジャパンの男性登録者95,380人のDNAデータを解析し,ヨーロッパ系人種でみられるmLOYの加齢や喫煙との関連を確認,未報告の31関連遺伝領域を同定した.遺伝統計学的解析により,造血幹細胞および多能性前駆細胞にシグナルの集積がみられた.さらに,mLOYにおいて重要な役割を果たす転写因子として血小板分化を促進するFLI1を遺伝統計学的に同定,血小板数と赤血球数がmLOYのマーカーとなりうる可能性を示した.

体細胞モザイク,Y染色体喪失,全ゲノム関連解析,SNP,FLI1

この記事は有料記事です

(残り約8,000文字)

  • 【スマホで読める実験医学】Y染色体後天的喪失のモザイクとその遺伝的機構が示すメカニズム
    550円