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ゲノム研究から提案された双極性障害の脂質代謝異常仮説

“Dyslipidemia hypothesis” in bipolar disorder proposed based on genomic research
池田匡志,斎藤竹生,大河内 智,岩田仲生
Masashi Ikeda/Takeo Saito/Tomo Okochi/Nakao Iwata:Department of Psychiatry, Fujita Health University School of Medicine(藤田医科大学医学部精神神経科学)
10.18958/6543-00001-0000885-00

代表的な精神疾患である双極性障害は遺伝要因が強く寄与する疾患であり,ゲノムワイド関連研究が導入されて以降,現在までに数十個の有意な関連領域が報告されている.そのなかでも,脂質代謝に重要な役割を示すfatty acid desaturase(FADS)遺伝子関連は,機能がきわめて明確な感受性遺伝子であり,この結果は双極性障害の脂質代謝異常仮説を支持するものである.事実,双極性障害患者でみられる脂質代謝異常(メタボリック症候群を含む)は,複数報告されており,その基盤となりうる結果とも言える.本稿では,双極性障害のゲノム研究を概説するとともに,この「双極性障害の脂質異常仮説」にも焦点を当て概説する.

双極性障害,GWAS,FADS,脂質代謝異常

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